和田 勇 氏(写真:水野 浩志)

 積水ハウスは、2017年度も社会課題解決と業績拡大を両立させるCSV経営を推進する。2016年12月に発表した同年2~10月期の連結決算は、売上高は前年同期比6%増の1兆4457億円、純利益が同17%増の831億円となり、同期間で4年連続の最高益を更新した。通期も最高益更新を見込む。

 最も注力するのは温暖化対策だ。パリ協定を踏まえて決定した「2030年度に温室効果ガスを26%削減する」という日本全体の目標のうち、住宅は削減率が40%と高い。目標達成に貢献できるよう全力で取り組んでいる。

 現に、新築戸建て住宅分野では、積水ハウスのネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の販売比率は7割を超えている。これは政府が掲げる2020年までにZEHの販売シェアを5割とする目標を上回っている。

 課題は既存住宅だ。国内の既存住宅は4000万世帯あり、2030年の削減目標を達成するためには、多くの既存住宅が断熱性能を高める必要がある。断熱材、LED照明、太陽光発電などに1000万円程度の費用をかければ、新築住宅並みの省エネと快適な暮らしを得ることができるが、実施世帯は少ない。

既存住宅の断熱性能を向上

 政府は、2030年の削減目標を達成するために地球温暖化推進法を改正し、国民への普及啓発を抜本的に強化することを盛りこんだ。しかし、それに比べて国民の意識は高くない。その要因は温暖化問題を他の社会課題と結び付けられず、国民の意識や行動を喚起するような訴求ができていないからではないか。 

 そのキーワードの1つが「健康長寿」だ。住宅で例を挙げれば、断熱性能が低い家は浴室と浴室外の温度差が大きく、入浴前後に高齢者が死亡する事故が増えている。交通事故による死亡者数より4倍多いという衝撃的なデータもある。健康寿命を伸ばすためにリフォームなどを行えば、温暖化対策にもつながる。健康で長生きする高齢者が増えると、年金問題や介護問題にも好影響を及ぼす。2030年の削減目標達成には国民運動を起こす必要があるが、各省庁がばらばらに取り組んでいては実現が難しい。政府、業界や企業も一丸となって取り組むべきだ。