福本 ともみ 氏(写真:菊池 一郎)

 飲料を手掛ける当社にとって最も基本的な事業基盤は「水」だ。

 工場で使用する地下水は、周辺の森によって育まれている。そこで、2003年から社内外のボランティアなどに参加してもらい、専門家の指導の下、枝打ちや植樹などを通じて水源涵養林を整備する「天然水の森」活動を続けてきた。活動範囲は2015年に13都府県、18カ所まで広がり、総面積は約8000haに達した。2020年目標として、工場で汲み上げる地下水の2倍の水を生み出す1万2000haを目指す。

 特に2014年度からは、体験型研修として、3年間でグループの総勢6000人の社員に森林整備を経験してもらう大規模な活動を進めている。従来は工場などの一部の社員に活動が限られていたが、営業や事務などすべての職種の社員が参加し、全社一丸となって環境経営に取り組む意識付けにつなげている。

 「自然との共生」という当社の創業以来の精神は、言葉だけでなく、実際に森に足を踏み入れて、汗を流して体感してもらうことで本当に理解できるものだと思う。

 これまで約3500人が活動に参加したが、「水」がどのように育まれているのか、自分の言葉で語れる社員が徐々に増えている。当初は求心力を高めるインナーブランディングの意味合いが強かったが、顧客に対して、商品を支える水を当社がどれだけ大切にしてきたか、実体験を交えて説明できるようになれば、商品や会社のブランディングに直結する。

海外企業との一体化を進める

 2020年に向けた目標として他にも、2007年比で工場の水使用量を35%、バリューチェーン全体のCO2排出量を24%、原単位で削減することを目指している。これまでに水とCO2をいずれも22%減らした。今後は海外のグループ企業と足並みを揃えて対策を進める。

 当社は、近年急速に海外企業とのM&Aを進めてきた。いずれの企業も環境対策に取り組んできているが、様々な環境データの基準の取り方や活動の内容や優先順位などが異なる。現状を正確に把握し、効果的な対策を進めるために、2016年は海外のグループ企業と積極的にコミュニケーションを図り、一体となって環境経営を進めたい。