佐々木 伸彦 氏(写真:中島 正之)

 企業価値に占める非財務情報の割合が高まっており、ESGの重要性が高まっている。こうした流れに対応するため、2017年6月に環境本部とCSR推進室を統合し、経営戦略やマーケティングを担当する執行役員が、環境・CSRの領域をカバーする体制を整えた。

 2017年は、SDGsやパリ協定といったグローバルな合意に対応するため、方針やビジョンの策定、推進体制の構築に取り組んだ。気候変動対策では、パリ協定で合意された「2℃目標」と整合した中長期の環境ビジョンを策定した。2050年までに富士通グループ全体でCO2排出量ゼロを目指す。

 富士通は、ICT(情報通信技術)を活用した「つながるサービス」の提供を成長戦略の核としている。この方針にSDGs目標を重ね合わせ、日々のビジネス活動に注力することが、SDGsの目標達成への貢献につながるようにしていく。

 SDGsによって新たなビジネスも生まれた。代表例は、国連開発計画(UNDP)、東北大学と共同で2017年3月に開始した、災害統計データベースの構築プロジェクトである。このプロジェクトは、SDGsという共通目標がなかったら実現しなかっただろう。

 2017年9月には、世界知的所有権機関(WIPO)が運営する環境技術の移転マッチングの枠組みである「WIPO GREEN」にパートナーとして参画した。環境技術を活用した国際貢献を目指す。モバイル機器充電時の消費電力を5割削減でき、従来の3分の1の時間で充電できるACアダプターをはじめ、200件以上を登録した。

CO2削減にAI活用

 2018年度は、中長期環境ビジョンの達成に向けて、具体的なアクションを起こしていく。注力するのは、人工知能(AI)を活用したCO2削減だ。AIによる高度な分析・予測技術を用いて、エネルギー供給やものづくりを最適化する取り組みを支援する。

 SDGsは、現状の業務をSDGs目標に照らし合わせ、自己正当化するものであってはならない。自身を変革し、成長するためのツールだ。先頭を切って取り組み、活動を世界に発信していく。