石田 建一 氏(写真:水野 浩志)

 積水ハウスは社会課題解決と業績拡大を両立させるCSV経営を推進している。暮らしの中心にある住宅は両立を可能にする手応えを感じている。

 2015年度の業績は好調に推移している。2015年12月に発表した同年2~10月期連結決算は、純利益が前年同期比27%増の711億円で、同期間の最高益を更新した。2015年度は、2014年度を初年度とした3カ年の中期経営計画の2年目に当たる。成長のドライバーとして位置づけた国内の住宅事業の中で、賃貸住宅やマンション分譲事業などが好調だった。

 2016年もCSV経営を加速したい。最も取り組むべきは温暖化対策だ。政府が国連気候変動枠組条約事務局に提出した「2030年までに温室効果ガスを26%削減」という全体目標のうち、住宅分野は40%と特に高い。今から取り組む必要がある。

 新築戸建て住宅では、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の普及を一層推進する。政府は2020年までにZEHのシェアを5割まで高めたいと言っているが、積水ハウスにおけるZEHの販売比率は7割を超える。FITを活用した売電需要は減少するものの、発電した電気の自家消費や省エネ性能に優れるZEHの需要は高く、今後も伸びる。

省エネリノベーションを強化

 ただ、新築のZEH販売だけで削減目標を達成するには限界がある。なぜなら、現在の新築戸建て販売数は年間約30万戸、今後10年間、全てをZEHで販売しても総販売戸数は300万戸。これは国内に4000万世帯あるといわれる断熱性能が低い既存住宅の戸数の1割にも満たない。新築戸建ての販売数の減少が見込まれる中、既存住宅の省エネリノベーションは業界全体で取り組む必要がある。

 住宅の製品寿命は長い。積水ハウスが扱う住宅の構造はメンテナンスを行えば100年持つといっても過言ではない。これに断熱材、LED照明、太陽光発電の導入など、1000万円程度の費用をかければ、新築住宅並みの省エネと快適な暮らしを両立するリノベーションが可能になる。

 コンパクトシティなど街づくりによる省エネの取り組みも強化したい。米ポートランドのように都市内総生産の増加とCO2削減を両立している都市もある。住まいを起点とした街全体の省エネに取り組み、経済成長との両立を図りたい。