数十人のマインドが変わった

――留職にも力を入れていくのですか。

小沼 もちろんです。留職を加速させるためのフィールドワークです。理想としては、参加された管理職の方が「社会課題の先にはイノベーションの種がある」と理解して、実際に何をしたらよいのかを考えるために若手を留職に派遣するといった使い方をしていただくと2つのプログラムの価値が同時に上がると考えています。

――留職プログラムを始めたそもそもの理由を教えてください。

小沼 大きく2つあります。まず、「想い」を持って働く人を増やしたいと強く思ったことです。青年海外協力隊に参加して、いわゆる新興国といわれるこれから伸びていく地域に生きる人たちが、未発達だけど自分の力で良くしていきたいと、生き生きと働いているのを見ました。しかし、日本では社会人を数年やると働き始めた頃の熱意を失い、「どうせこんなもんだよ」という雰囲気がすごく蔓延していると感じました。そこを変えていかないと絶対だめだという青臭い想いがありました。

 それから、SDGsのターゲットの1つにパートナーシップがあるのと同じかもしれませんが、企業と行政とNPOが一緒になって社会を変えていく時代がもう到来していると思っていますし、そういう社会にますます近づけていかなければいけないと考えています。そういう意味では、単純に人材を育成するのではなく、越境して学びを得るようなことをやっていきたい。セクターを越えたイノベーションで社会課題を解決するために何かをやりたいという想いがありました。

――クロスフィールズにとって、この7年間の成果は何ですか。

小沼 留職というこれまでにない事業モデルをサステナブルな形で運営できていることです。やればやるほど世の中が良くなっているという実感を伴いながら、お金も回る仕組みをつくれたことは、自分たちの何よりのイノベーションです。そして、留職に参加した130人のすべてではありませんが、数十人レベルの人がマインドセットを大きく変えました。「この人が将来役員になったら絶対にその企業は変わるだろうな」と確信を持てるような人がかなりの数います。我々がやっていることは社会にとって意味があると思えます。それから、先ほど企業の考え方がここ数年で大きく変わったとお話ししましたが、7年間でみるとそれこそ大きな変化だと思います。我々だけでつくったものでは全くありませんが、少なくともその一翼を担った自負はあります。

 新しいモデルをつくり、参加した人の確かな変化を実感でき、そして世の中の空気をつくれたこと。この3つを我々は誇りに思っています。

写真/鈴木 愛子