タン・ウイ・シアン 氏(写真:中島 正之)

 2016年は、独自の森林保護方針に着手して4年目となった。植林木からの生産を徹底し、自然林は一切伐採せず、製造工程に使わない。地元住民とのコミュニケーションに力を入れた他、WWF(世界自然保護基金)インドネシアなどとスマトラゾウの保護などで協業を進めている。かつて製紙業界は森林を破壊すると考える消費者が多かった。近頃は、自然林を伐採せずに紙を造れることが伝わってきたとみている。

 森林保護のために原料を調達するインドネシアの人工林などでは森林火災の防止に力を入れている。毎年、乾季に発生する火災は国民を苦しめる課題の1つである。シンガポールなど隣国の森林への延焼も引き起こしている。

 我が社が管理する地域で活動する消防員を増員し、配置を工夫することで発火を早期に発見できるようにした他、消防の道具・設備、水を多量に空輸できるヘリコプターを追加した。気候条件にも恵まれ、2015年と比べて火災日数が大きく減り、手応えを感じている。

 泥炭地が原因となって、火災が起こることもある。我が社の管理地域では、泥炭地を管理するために、3500カ所以上で水路をせき止めるなど対策を進めている。

 泥炭地とは植物の残さが土壌に混じる湿地帯のことで、乾季になると温室効果係数の高い可燃性ガスが発生する。地球温暖化にもつながる。

焼畑の縮小へ、住民に農業支援

 住民による焼畑を縮小するため、新たな農作物の指導も進めている。森林に火を付けて開墾、整地し、パーム油を採取できるヤシなどを植える焼畑農業は、同国では一定条件を満たし許可を得れば違法ではない。しかし、森林破壊や火災の原因になり、生態系にも影響を及ぼす。そこで栽培しやすい果物や野菜の育て方を2016年までに約60カ所で実施した。2020年までに500カ所の村で指導する。2017年も農業指導を加速する。住民の生活の安定につながり、森林の違法伐採、危険な焼畑を防げる。こうした支援を拡大する。

 森林保護や気候変動はグローバルな課題である。2016年は国際自然保護連合の会合への参加など活動を広げた。今後も国境を越えた協力関係や活動を展開したい。