五十嵐 一浩 氏(写真:中島 正之)

 2016年4月から富士通グループの第8期環境行動計画をスタートした。「社会への貢献」と「自らの事業活動」を通じて持続可能な社会の発展を目指すという大きな考え方はこれまでと変わらないが、当社の事業であるICT(情報通信技術)のサービスや省エネ・省資源製品の提供によって、顧客とその先にある社会の持続的発展に貢献するということをより明確に打ち出した。

 2015年にSDGs(持続可能な開発目標)とパリ協定という世界的な方向性が示され、2016年はこれらに本格的に取り組み始める年となった。これをビジネスチャンスと捉えて事業拡大を図る。

 気候変動対策や省エネに貢献するICTサービスとしては、海運向けの燃費改善サービスの開発に取り組んでいる。海運の年間CO2排出量は世界全体の約3%に当たる約9億tと膨大だ。風、波、海流、船舶のエンジン、速度、位置などのビッグデータを解析し、実海域を航行する際の船舶性能を精密に推定する技術を開発した。最短航路を航海したケースに比べて更に5%程度の燃費改善が可能になる。現在、実証試験を進めており、2016年度中のサービス提供を目指している。

革新技術で究極の省エネ

 2017年は、ICTサービスの中核となるデータセンターの省エネに注力する。富士通グループ全体の消費電力のうち、データセンターの占める割合は約3割を占め、今後も年率5%程度の増加が見込まれている。そこで、現状の消費電力を劇的に下げる「究極の省エネデータセンター」に挑戦する。

 そのための技術の1つが、サーバーなどのIT機器をまるごと液体の冷媒に浸し、冷媒を循環させて冷やす「液浸冷却」だ。現状より3~5割の省エネが可能になる。現状は、冷媒をポンプで循環させて冷やしているが、ポンプを使わない自然対流による循環技術も開発している。

 AI(人工知能)の活用も進める。現状は、機器の温度が上がったときに、その場所を集中的に冷やしているが、これは効率的ではない。AIによって顧客の業務量や1時間後の温度・湿度などから発熱量を予想できるようになれば、さらに効率的な冷却が可能になる。こうしたAI技術を様々な分野へ展開し、気候変動対策や省エネに貢献する革新的な製品・サービスを生み出していく。