タン・ウイ・シアン 氏(写真:中田 実)

 2016年2月で、自然林の伐採を全面的に停止し、植林木だけでパルプを生産することなどを定めた「森林保護方針(FCP)」を実施して、丸3年になる。地元住民との利害調整など、課題はいくつか残されているが、自然林の伐採をやめるというFCPの根幹は徹底できていると思う。

 現在、140万ha(東京都の約6倍)ある植林地の半分の地域で森林認証のPEFC認証を取得しており、2016年の早期に100%取得する。

 6月ごろには、南スマトラで年産200万tの世界最大のパルプ工場が稼動する。当然すべての原料を植林木で賄うが、紙・パルプ産業のリーディングカンパニーとして、環境や社会に対する責任はより一層増す。

 2016年はさらに、森林を利用する企業として、より積極的に自然林を保護・再生する活動に注力する。我々の管理する地域とその周辺で、保護価値の高い100万haの自然林の再生に取り組む構想を2014年に掲げた。広大な森林の保護・再生には巨額の費用が必要だ。活動を本格化するに当たり、独立して運営される信託基金を立ち上げた。当然まずは当社が出資するが、幅広いステークホルダーにも力を貸していただきたい。

 インドネシアの森林保護には、世界の多くの企業が取り組んでいるが、個々の活動がバラバラで成果を上げづらいのが実情だ。多くのステークホルダーの資金やノウハウを結集して、体系的に保護に取り組めば、大きな成果が得られると思う。

森林火災の抑制で貢献

 また、世界的に発展途上国の温暖化対策が注目されているが、我々は、森林火災の抑制に努めることで大きな貢献ができると考えている。

 例年、乾季の6~9月にはインドネシア各地で森林火災が発生する。エルニーニョ現象の影響だと考えられるが、2015年は乾季が長引き、11月半ばまで火災が続いた。火災の原因の1つは、農民が農地を開墾する際に下草を処理するために行う火入れだ。我々はこれまで森林火災で多くの植林地が被害を受けてきた。1996年に「火入れ禁止方針」を定め、サプライヤーにも重機による整地を徹底させてきた。

 さらに近年は、各国の先進的な消火技術を試験導入したり、農民に火入れのリスクを伝える活動などに注力している。森林で事業を行う企業として、より高いレベルで社会的責任を果たしていきたい。