加藤 茂夫 氏(写真:佐藤 久)

 2015年11~12月に開かれた国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)では、オフィシャル・パートナーとして会場で使用するプリンターをはじめセキュリティを確保した統合文書管理ソリューションを提供した。当社が力を入れている、部品や部材をリユース・リサイクルしたプリンターをそろえた。

仏政府からの評価に感激

 きっかけは、議長国の仏政府からの突然の要請だ。三浦善司社長の名代として訪問した私が自社の取り組みを説明しようとすると、仏政府のCOP21事務局長は話をさえぎり、「うちの秘書たちはあなたよりも詳しくリコーについて説明できます」と冗談めかして言った。リコーの取り組みを詳しく調べ、評価した上で声をかけてくれたのだ。本当に感激した。

 1998年に当時の桜井正光社長が「環境経営」を打ち出して以来、環境保全活動を推進することで利益を創出するという考え方に基づいて事業を展開してきた。2005年には、2050年までに環境負荷を8分の1に低減する必要があるという認識の下、「省エネ」「省資源」「汚染予防」の3分野で長期目標を策定した。グループ内だけでなく上流と下流を含めた製品のライフサイクル全体で環境負荷を減らす「コメットサークル」は94年に制定したコンセプトだが、今も息づいている。

 ただ、グループの事業形態は常に変化している。海外売上高比率が60%を超え、働く人材も入れ替わっている。環境意識の高い人材を育て続けることが私の役割の1つだ。例えば、世界の主要拠点から適切な人材を私の直属の部下として指名し、環境関連の活動計画などをグローバルで話し合わせている。

 国内では、環境活動の中心になる人材を設計や販売などの事業ユニットごとに数人ずつ選び、東京商工会議所の「エコ検定」を受験させている。合格者の「エコピープル」と環境経営のレベルアップに関する対話を企画しているところだ。

 2016年はリコーの創業から80周年に当たる。100周年に向けて持続的に成長するため、何に取り組んでいくのかを発信したいと考えている。環境経営をより進化させるため、静岡県御殿場市に「リコー環境技術センター」を開設する。既存の事業領域にこだわらず、新しい分野での環境技術を確立し事業創出を図る。