2年かけて作った「全員一致」の中計

――2017年、新中期経営計画「TOTO WILL2022」を発表しました。今後の成長要因などを数字で細かく示しています。

喜多村 5カ年の中期計画でなぜあんなに細かく数字を出したのかと驚かれますが、「これはウィル(will=意思)であって、コミットメント(約束)ではないよ」と答えています。もちろん、公表した以上コミットメントと受け取られても仕方ないですが…。

 実はこの計画を作るのに2年かけました。自分たちの商品特性やこれからの商品開発、そして最も重視したのがマーケットがどう成長するのか。いろいろ議論しながら進めてきました。まずグローバル事業推進本部が基礎的なデータを用意するとともに、インドはどうなのか、ミャンマーはどうなのかといった各地域のセールスの肌感覚も取り入れてすり合わせながら作りました。例えば、インドの人たちの生活水準はどうか、年収に応じてどんなトイレを使っているのかといったことです。すると、インドはお金持ちでもそれほどぜいたくな水周りは持っていないことが見えてくるわけです。いろいろなことを市場別に検討しながら、その結果として「自分たちはこれぐらいは達成したい」という数字を作ったのです。

 どうして、そんなに時間をかけたのかというと、みんなが自分の計画だと思えるようにするためです。ぼくが作ったとなると、次の人に引き継がれていきません。先ほども言いましたが、うちの商品は寿命が10年とか、20年と長いので、自分が手がけたものが商品になって市場に出ていく時には、もう自分は社長ではないんです。この計画は引き継がれなければならないので、反対の人が1人でもいたら出さないと言っていました。

――納得のための2年だったのですね。

喜多村 ぼくは「達成できなくてもいい」と社内に言っているんです。今後、世情は変わるし、想定を超えたいろいろな変化が起きるでしょう。それを全部は読みきれません。でも、まず目指さないと達成はできません。だからウィルなんです。たとえ達成できなくても、何が間違っていたかが後から分析できます。

――ESG(環境・社会・ガバナンス)投資が急拡大していますが、TOTOはいち早く2011年にESG推進部を設置しています。特別な狙いがありましたか。

喜多村 ESGもそうですが、その前のCSRから新しい言葉が生まれ始めたと思っています。しかし、CSRを突き詰めていけばうちの社是なんです。そして、社是をひも解くとESGの項目が当たり前のようにあるわけです。ESGという言葉は新しいんですけれど、自分たちが思っていた会社の在りようから考えても全然、違和感はありません。ただ、各事業部でやってきたことをESGのくくりでまとめて進めていなかければならないという気持ちは以前からあったので部署をつくりました。

――社外への発信のためですか。

喜多村 社外向けを考えてやったことはあまりないんですよ。お客さん向けはありますが。

――それでも様々なESGインデックスの投資銘柄に選ばれています。

喜多村 評価機関からの調査などには、やれていることはきちんと言いますが、やれていないのに無理してやったように見せることは絶対にしない方針です。

――ご自身で設問を確認するのですか。

喜多村 担当者にまとめてもらいますが、目は通します。社会がどういうことを求めているのかの指標だと考えているからです。

写真/鈴木 愛子