斎藤 正一(日経BP環境経営フォーラム事務局長)

法務室で各部署からの相談に乗る中で仕事への自信を付けた。現部署では社外への発信に注力、自ら森に出て学んでいる。

藤山 富美恵(ふじやま・ふみえ)
1968年北海道生まれ、91年北海道大学法学部卒、同年日本生命保険入社、支社、お客様サービス部などを経て96年から2004年まで法務室(法務部)に在籍、2014年3月から現職

 北海道大学法学部を卒業後、総合職として日本生命保険に入社した。大阪東支社に1年間勤務した後、「ライフプラザ日比谷」という来店型店舗で個人顧客向けに保険契約や相続税対策などの相談にのった。窓口業務なので直接、「ありがとう」と言われることもあった。「成果がはっきりと分かる仕事だったのでやりがいがあった」と話す。

 その後、法務室に8年間在籍した。法務室は、各部署からの法律案件の質問や相談に乗るのが主な仕事だ。そのためには懸命に専門の勉強をしなければならない。しかし、この部署で藤山さんは、「法律を通じて各部署の仕事を深く理解することができ、仕事に対する自信が持てた」と振り返る。

 この時代、コンプライアンスグループという組織の立ち上げにも関わり、各部署で倫理的に問題になりそうな案件の洗い出しと、PDCAを回しながら問題が起きないようにする仕掛けを作った。

 契約審査部の給付金グループで入院や手術の支払いの査定をする仕事などを経て、2014年3月にCSR推進室長に就いた。CSR推進室は日本生命と関連財団の社会貢献活動を主に担当する。

 多くの社会貢献活動に携わっているが、2011年度からは中学生を対象に保険教育の出張・受け入れ授業に取り組んでいる。授業では今後の社会環境の変化を説明した上で就職や結婚、育児などでどの程度の資金が必要になるかを解説し、将来設計の大切さを伝えている。

 室長に就任後、出張授業の講師の社内公募制を始めた。保険会社の本来の活動を生かした社会貢献活動と考えたからだ。この試みは成功し、2014年度は約100人、2015年度は約250人の社員が手を挙げたという。社会的にも評価を受け、2015年、「キャリア教育アワード優秀賞」などを受賞した。

 社内向けの仕事が中心だったが、CSR推進室に異動してからは社外向けの仕事が格段に増えた。「社外に発信しない限りは、誰からも注目してもらえない。常に『外へ外へ』と意識が変わった」と語る。意識だけでなく、社外で活動する機会も増えた。ノコギリを持ったことさえ無かった藤山さんは1年間に9回も「ニッセイの森」へ入り、間伐や枝払い、下草刈りなどに汗を流す。

 森に入り地元の人や林業に携わる人から多くのことを教わり、物事を考える視点が変わったようだ。「以前は社内の理屈をどのように世間に合わせるかと考えていたが、環境や社会の問題にどのようなことができるかという視点で物事をみるようになった」と笑顔で話す。藤山室長のもと、日本生命がこれからどのような活動を展開していくかが楽しみである。