聞き手/田中 太郎(日経エコロジー編集長)

2018年度の目標であった「グループ売上高500億円」を2年前倒しで達成する見込み。厳しさ増す廃棄物処理業界で伸びている理由は、過去からの設備投資の積み重ねだ。

金子 文雄(かねこ・ふみお)
1956年、兵庫県生まれ。79年大阪商業大学経済学部卒業後、大栄環境に入社。83年三重中央開発取締役、91年大栄環境取締役、2007年大栄環境代表取締役社長、三重中央開発代表取締役社長に就任。2009年から現職
写真/上野 英和

――2016年1月に発覚した食品廃棄物の横流し事件が注目を集めています。原因は何でしょうか。

金子 文雄氏(以下、敬称略) 処理能力以上に廃棄物を受け入れてしまったのと、たい肥の行き先を確保できていなかったという問題があったのではないでしょうか。処理する側は、廃棄物を受け入れれば売り上げが立つので、なるべく大量に受け入れたい。一方で処理にはなるべくコストをかけたくない。それが販売できるルートが見つかったので、そちらに流れてしまったのだと思います。

――横流しする業者を見抜けなかった排出側の責任を指摘する声もあります。

金子 生産管理は徹底しているのに比べて、廃棄物管理については安く処分することを重視する傾向があります。目の前からなくなればいいという感覚がまだ残っている企業もあると思います。しかし、特にリサイクルに関しては、処理した後のものがどこに行くのかまで確認しないと本当に処理が完了したことにはなりません。

――今回のことで変化はありますか。

金子 処理施設を現地確認する企業が増えました。収集運搬車をクルマで追跡する企業まであります。

――収集運搬車を追いかけるのですか。廃棄物処理法の「注意義務違反」に問われないようにするために、そこまで手間をかける必要があるのでしょうか。

金子 実は今回の事件をきっかけにスマートフォンやタブレットで撮影した画像や動画を使って廃棄物を最終処分まで追跡できるトレーサビリティ・システムを開発し、7月から提供しようと考えています。排出事業者は、当社のデータベースにアクセスしてマニフェスト(産業廃棄物管理票)の番号を入力すれば、廃棄物がどこにあって、どのような状態にあるのかが分かるようになります。

――IT(情報技術)で廃棄物の行方を最後まで追うのですね。利用にはどれくらいかかるのですか。

金子 なるべくコストがかからないようにしようと考えています。静止画ならマニフェスト1件当たり数百円に抑える予定です。

――大栄環境ホールディングスについてうかがいます。2015年度はグループの売上高が目標の500億円を2年前倒しで達成する見込みです。要因は何ですか。

金子 当社は1979年に埋め立て処分事業からスタートしました。当時、産業廃棄物が社会的な問題になっており、埋め立て処分には地域から強い反対を受けました。その頃から処分場だけではなく、焼却や破砕などの減容化、リサイクルに積極的に設備投資してきました。現在、事業を展開している地域では、すべてのリサイクル法に対応できる施設を持っています。

■ 大栄環境グループの業績推移
売上高が順調に拡大しており、2016年度からの中期計画では2020年度の目標を700億円に設定した