日本市場向け施策に注力

――APPはコピー用紙などの情報用紙で日本市場におけるシェアの約25%を占めています。日本市場に向けてどのように取り組んでいますか。

タン APPは日本を最重要市場と位置づけています。日本は環境先進国で、要求される基準や品質が高い国としても知られています。そこで、APPとしては日本の顧客に安心して購入していただけるように、原材料が違法伐採の木ではないことを証明するトレーサビリティの仕組みをきちんと作っています。とはいえAPPが「大丈夫だ」と自己申告するだけでは不十分ですので、第三者機関からの認証も受けています。現在、日本市場で販売しているコピー用紙はすべて植林木をベースに生産したもので、約85%は世界最大の森林認証制度であるPEFC認証製品です。私たちはやはりBtoBの会社ですので、そういった点には力を入れています。

――日本市場に根づくためにどのような取り組みをされていますか。

「女性だけの会社づくりも支援」

タン 多くのステークホルダーの方々と連携を強めることが重要であると認識しています。このほど経団連に加盟したほか、日本製紙連合会、グリーン購入ネットワークなど多くの関係団体にも加入させていただいています。また、日本とインドネシアの交流を深めるため、在日インドネシア経営者協会の中心メンバーとしても活動しています。

 一方では、原材料の生産地であるインドネシアの環境を日本の方にぜひ紹介したいという思いも強く持っています。主要な生産地であり、製紙工場も多く立地するスマトラ島に毎年、日本の方を招待し、ボランティアの植樹活動を実施しています。

 この活動は2014年にスタートし、横浜国立大学の宮脇昭名誉教授にも来ていただきました。2017年は北海道から四国まで30人以上の参加者に、現場を体感していただきました。スマトラ島では、植林から原料化、製品化までを見ることができます。現場を見ていただくことには大きな価値があると思います。

森林保護を実現する取り組み

――2013年に発表した森林保護方針(FCP)では製紙メーカーとして初の「自然林伐採ゼロ」を宣言し、世の中に衝撃を与えました。この目標はいまどの段階にきていますか。

タン 森林保護方針はAPPのサプライチェーンにおける自然林伐採の即時停止を宣言したもので、木材供給企業38社のすべてで採用されています。森林保護方針の誓約をしてから5年が経過しましたが、APPはその誓約を着実に順守し、2013年9月以降、天然林材は一切入っていません。製品は100%植林木から生産しています。

 インドネシアと中国に東京都の約6倍に相当する140万ヘクタールの自社グループ植林地を所有しているのも森林保護方針を実現するためですが、これほど広大な植林地を持つ企業はおそらくないでしょう。

――森林保護方針の実現に向けて難しいのはどういった点ですか。

タン 最大の問題は、第三者による違法伐採です。また、焼き畑や、それを原因とした森林火災も深刻です。正確な数字ではないのですが、インドネシアでは国が管理している国立公園や保護林の15%が違法伐採や焼き畑などで破壊されているといわれます。

 APPがインドネシア政府から依頼されて保護している自然林は60万ヘクタールに及びますが、2014、15年頃はこれらインドネシア政府の保護林が違法伐採などで毎年5%程度失われていました。そこでAPPでは外部の専門機関と協力し、森林パトロールの強化や衛星を使った森林監視を行っています。こうした活動の結果、2017年の森林消失率は0.1%まで大幅に低下しました。