聞き手/田中 太郎(日経エコロジー編集長)

スマートハウスやガラス用中間膜などの環境貢献製品で成長してきた。ど真ん中に環境を位置付ける経営方針は不変だと言い切る。

髙下 貞二(こうげ・ていじ)
1953年岡山県生まれ。1976年同志社大学経済学部卒、積水化学工業入社。2008年取締役住宅カンパニープレジデント、2014年取締役専務執行役員CSR部長兼コーポレートコミュニケーション部長を経て、2015年3月から現職
写真/鈴木 愛子

――3月に社長に就任し、まず何に着手する考えですか。

髙下 貞二氏(以下、敬称略) 私に与えられたミッションは大きく2つあります。1つは2014~16年の中期経営計画「SHINKA!-Advance 2016」に掲げた「2016年度の営業利益1000億円」という目標をしっかり達成すること。もう1つは、さらに先の2020年代に、売り上げと利益の規模を倍増させるための成長プランをデザインすることです。

 当社は2008年のリーマンショック後も、増収増益を確保してきました。しかし、今後は間違いなく景気の厳しい状況が続きます。2017年に予定されている消費税増税や2020年のオリンピック後の反動が予想される中で成長を続けるにはどうするか、対策を立てなければなりません。

厳しい2020年代に向け成長戦略描く

――具体的にはどのようなことでしょうか。

髙下 3つの方向があります。まず、収益力をもっと上げていかなければなりません。現状の営業利益率7%は低すぎます。将来に向けて投資を実行し、株主や社員に還元して事業を進めるには、営業利益率は10%以上、ROEは13%以上が最低限の数値です。徹底した事業の選択と集中を実行していく必要があります。

 2つ目は、ものづくりをするメーカーにとって重要なイノベーションです。我々は「環境」を経営のど真ん中に位置付けています。環境と経済を両立させる環境貢献製品を世の中に出し、事業を際立たせるという考え方がベースにあります。我々が持つイノベーションの力を使って、あるいは社外とも共創しながら製品を生み出し、社会や地球環境に貢献する。これをやり切れば事業は自然に大きくなっていくと考えています。

 そして、新市場や新分野などのフロンティアをいかに開拓するかです。主要3事業のうち高機能プラスチックスカンパニーは、自動車向け合わせガラス用の遮音・遮熱中間膜が世界トップシェアを握るなど海外市場に出ていっています。

 しかし、住宅カンパニーや環境・ライフラインカンパニーは、まだまだ国内市場に依存しています。国内市場は縮小が予想されますが、それでもやるべきことはまだあります。それをきちっとやりながら、どう海外へ出ていくか。住宅はすでにタイに進出していますが、これをどう広げていくかが課題です。

――業界でいち早く環境経営を打ち出しました。

髙下 2003年に当時の大久保尚武社長が「環境」で際立つ会社になるという目標を打ち出しました。実際にこれまで、環境貢献製品を事業の柱にし、その売り上げを伸ばすという考え方を実践して成長してきました。住宅でいえば、太陽光発電の設置で世界一です。

――ギネスブックにも登録されていますね。

髙下 そうです。太陽光発電システムを設置した住宅の販売はもう累積で16万棟を超えるのではないでしょうか。その太陽光発電とHEMS(家庭用エネルギー管理システム)、蓄電池の3点セットを備えたスマートハウスのトップランナーを走ってきました。電気自動車(EV)との連携も既にやっています。

 ご存知のように、日本のエネルギー消費の3分の1が民生部門で、そのうち半分が家庭です。今やクーラーは全室にあり、テレビはどんどん大型化しています。いくら省エネ家電といっても、エネルギー消費は増えてしまいます。

 しかも、日本の発電は石油やガスの輸入に頼っています。原油は今、非常に安いですが、長い目で見れば一過性です。産油国が減産しないから価格が下がっているだけで、すぐに1バレル100ドルに戻るでしょう。そして原子力発電も危険性がある。

 ではどうするのかいうと、無限の可能性を持っている自然エネルギー、住宅でいえば太陽光を最大限利用しなくてはなりません。発電した電力の電圧を調整するためには蓄電池、電力を賢く使うためにはHEMSが必要になります。現在、ほとんどの住宅メーカーがスマートハウスに力を入れており、とても良いことだと思っています。我々はこれをイノベーションで進化させ、次に行こうとしています。