経済システム自体を変える試み

――自動車や家電製品なども昔は部品を取り替えて長く使っていました。そういう世界にまた戻そうと考えているんですか。

原田 新しいものを売った方が経済的に伸びるという状況だったわけですが、結局、今はそういった経済構造の日本をはじめとしたOECD(経済協力開発機構)諸国の経済成長はほぼ横ばいになっています。そういう意味で、OECD諸国の時代のモデルは一時的なものだと考えてもいいんではないですか。

――大量生産・大量消費の経済はあだ花になる。

原田 今は大量生産をしている中国の影響が大きいと思います。それに対してEUは、ある意味アンチテーゼを打ち出したと受け止めてもいいと思います。CEの重要な概念として、デュアラビリティ(耐久性)がとても強調されています。製品として徹底して使おうとすると耐久性が求められる。リユースにも耐久性が求められるわけです。耐久性を犠牲にして安く大量生産されている製品が普及している現状に対し、耐久性で差別化していこうという意図もかなりある。耐久性にこそ価値があるのだよという形での市場の確保を狙っているところも大きいと思います。

――買い替え需要が縮んでしまうのは、経済にも影響するのではないですか。

原田 ここは日本人が一番理解していないところで、要するに今の経済システムを前提に考えて、経済合理性がないと世の中動かないと言うんです。しかし、CEの一番すごいところは、その経済システム自体を変えようとする試みだということなんです。今までは製品を大量に売ることで儲けてきましたが、もうそれは限界です。だから、もっと大切に使うことに付加価値を見いだし、お金が動くようにしましょうというのがCEの一番のポイントなんです。

――それが机上の空論ではなく、本当に実現できる話なのかどうかですね。

原田 そうしないと要するにEUに未来はないと思っているわけです。机上の空論に感じるのは、今の経済メカニズムにその仕組みが入るかどうかを考えるからです。

日本企業はソリューションを持っている

――日本企業はCEにどのように関わっていくべきだとお考えですか。

原田 日本の場合は、具体的な資源循環のソリューションを持っています。そのソリューションを欧州の構想と結び付けると、CEを実現する大きな力になると思います。例えば、米キャタピラーのリ・マニュファクチャリングは、CEの取り組みとして有名です。使用した機器の一部を使い、弱い部分を修理したりしながらもう1度機器として再生する。しかし、この前調べていたら、2000年にデンソーが既に同じことをやっているわけです。ただ、それを社内で現在CEとして位置付けているわけではありません。非常にもったいないことだと思います。

――そうした事例はたくさんあるんですか。

原田 それを掘り起こしていかなければならないと考えています。

――EUがCE政策で日本製品を閉め出すというより、一緒に成熟型経済の中での資源の有効利用を考えて経済メカニズムを変えていくことで、日本の未来の姿を描けるという提案ですね。

原田 その通りです。

写真/佐藤 久