斎藤 正一(日経BP環境経営フォーラム事務局長)

高校時代に「環境」を志し日本コカ・コーラなどを経て現職に就く。熱帯林の保護で企業と社会のサステナビリティに貢献する。

大西 健太郎(おおにし・けんたろう)
1971年生まれ、大阪府出身。98年米ピッツバーク大学院環境政策修士課程修了、アクセンチュアでコンサルタント、日本コカ・コーラで環境経営部・広報などのマネジャーを経て、2015年2月から現職

 高校時代、熱帯林の破壊などをテーマにした「地球は救えるか」というNHKのスペシャル番組を見て、環境問題に関わる仕事に就こうと決めた。大西さんのすごいところは、この思いを具体的な行動に結び付けて実現していることだ。国内の大学を卒業後、米ピッツバーグ大学の大学院に留学し環境政策を学んだ。

 帰国後はアクセンチュアのコンサルタントとして約4年間勤め、2002年に日本コカ・コーラに転職、できたばかりの環境経営部で働いた。志していた環境の仕事を初めて経験し、水を得た魚のように働いた。約12年間の在籍のうち、前半は主にコカ・コーラが独自に開発した環境マネジメントシステム「eKO」を日本流にアレンジし、国内に14社ある飲料製造・販売会社(ボトラー)へ導入することに汗を流した。後半はミネラルウオーター「い・ろ・は・す」の開発に携わり、大ヒットに貢献した。

 この間、環境ブランド調査での日本コカ・コーラの順位は、100位前後からベスト10に定着するまでになった。大西さんの働きが、こうした結果の一端を担ったのは間違いないだろう。

 そして3番目の職場として選んだのがエイピーピー・ジャパン(APPJ)である。現在は熱帯林の保護方針を打ち出し一定の評価を受けるようになったが、アジア・パルプ・アンド・ペーパー(APP)は、かつて国際的なNGOから批判を受けた企業だ。入社時の面接で「原料の供給元は熱帯林」との説明を受けた時に、「APPJで働き熱帯林を守ることで、企業と社会のサステナビリティに貢献したいと思った」と振り返る。

 2015年2月の入社以来、10月末までに4度、インドネシアを訪れた。実際に現場に入って知ったのは、熱帯林を守ることの一筋縄ではいかない難しさだ。熱帯林を守るには、この国が抱える貧困や現地の人々への自然保護教育などにも向き合っていかなくてはならない。

 「つなげる役割を果たしていきたい」と繰り返す。APPは、2014年にインドネシア国内100万haの自然林保護・再生支援策を発表したがAPP単独では実現が難しい。様々なステークホルダーと協力してこのプロジェクトを実現したいとの思いを、この言葉に込める。

 小中学校の一時期を香港で暮らした。当時から強く抱いているのが、日本人として何ができるかということだ。現在の立場を生かして、「インドネシアという国を日本でもっと知ってもらい、投資や人を呼び込むことにも力を入れていきたい」と話す。国と国とをつなげる役割でも、大きな活躍が期待できそうだ。