斎藤 正一(日経BP環境経営フォーラム事務局長)

入社後10年間、バイヤーとして取引先との交渉の最前線に立った。今後は社内の対話活動を進め、今日的な「良い会社」を目指す。

大島 千佳子(おおしま・ちかこ)
1960年北海道生まれ。84年成城大学法学部卒、同年石川島播磨重工業(現IHI)入社。資材部(91年総合職に職区分変更)、監査室、内部統制室、法務部などを経て2015年4月から現職

 物腰が柔らかく、笑顔を絶やさない。質問に丁寧に答える姿が印象的だった。仕事を楽しむタイプなのだろう。約1時間のインタビューで、過去や現在の仕事について「面白い」「楽しい」という言葉を10回近く繰り返した。

 一般職として入社し、資材部の配属となった。最初の10年間をベアリング(軸受け)やバルブなどの機械部品のバイヤーとして過ごした。上司や先輩に恵まれ、責任のある仕事を任されたことが、その後の会社人生を変えたようだ。

 バイヤーとして取引先との交渉の最前線に立った。自分が頼むと難しいことでも、権限を持った課長や部長が交渉の場に出るとまとまることが珍しくなかった。「いつか役職について大きな仕事をしたいと思うようになった。当時、取引先の役職者は皆、尊敬できる方々で勉強になった」と話す。仕事ぶりが評価され1991年に総合職となった。

 96年からはバイヤーに対してコンプライアンス教育をする仕事に就いた。この経験が買われて監査室で調達業務に特化した監査を任された。2008年に配属となった内部統制室ではJ-SOX法(日本版SOX法)を担当、内部統制報告書を作成した。

 2014年4月からCSR推進部長に就任したが最初の1年間はダイバーシティ担当を兼務、2015年4月から専任となった。温暖化対策では2016年のCDP気候変動で「A-」の評価を得るなど、社外の評価は着実に高まっている。

 1853年創業のIHIの経営理念は、「技術をもって社会の発展に貢献する」。まさにCSRそのものだが、現在、同社のCSR活動が社外だけでなく社内にも十分浸透しているとは言い難い。「まずは事業を通じて社会の発展に貢献していることを社内に啓発している段階」と打ち明ける。

 今後、大島さんが力を注ぎたいのは、社内で対話活動を進めていくことだ。「真面目に雑談をする場所」を作り、30年後の社会やIHIなどをテーマに話し合う。

 「当社が中長期的にどう進んでいくべきなのか。私たちが事業部のメンバーに考えるきっかけを与え、今日的な『良い会社』を目指していきたい。それがCSR推進部のミッションだと思う」と語る表情は真剣だった。

 環境活動についても環境規制やパリ協定に対応するだけでなく、規制に対応することで企業の管理レベルや品質を良くしたいとの思いを持つ。「IHIならばこんなことができるのではないかという社外の期待にしっかりと応えられる会社になりたい」。CSRや環境というテーマを基に企業価値を高めていくとの強い意志を感じた。