小路 明善 氏(写真:鈴木 愛子)

 アサヒグループは、2016年からスタートした「中期経営方針」の3つの重点課題の1つとして、ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組み強化を掲げている。

 私は、ビールや飲料、食品などの事業会社とホールディングスが連携していくことが特に重要だと考えている。具体的には、環境情報データの収集拡大と第三者評価による開示の強化、ISO14001の国内グループでの統合認証取得、CSR調達によるサプライチェーンマネジメントなどをホールディングスと事業会社で協力して進めている。

 ホールディングスは投資家視点から、事業会社は顧客視点からESGにどう取り組んでいったらよいのかを考える。2つの視点が合わさることによって、我々自身にもやりがいがある取り組みが実現し、投資家や顧客の評価向上にもつながると考えている。投資家だけの視点では、取り組みが長続きしないし、事業会社にとってはやりづらいものになってしまうだろう。

アサヒらしいCSV実践

 もう1つは、アサヒグループの強みを生かした、アサヒらしいCSV(共有価値の創造)を意識している。

 例えば、ビールを製造する際に使う酵母を活用した農業資材の開発がある。発酵し終えた酵母の細胞壁を熱処理して資材化し植物に与えると、病害虫に強くなり、収量が増えることが実証できた。事業化に向けて今、取り組んでいるところだ。

 農家にとって生産効率が高まるし、自然由来の安全な資材ということで消費者からの評価にもつながるのではないか。国内のみならずグローバルに展開できるので、アサヒのESGに対する世界的な評価を高められると思っている。

 さらに、健康もテーマだ。カルピスの乳酸菌技術などを生かし、アサヒならではの特長的な商品を出していきたい。

 ESGやCSVの根幹は、ただコストをかけて社会的責任を果たすのではなく、事業に落とし込み、事業を通して社会や消費者に貢献することだろう。事業の中にあるリソースを深堀りし、CSVに取り組める事業を探していけば、自然体でできるし、長続きすると考えている。