聞き手/藤田 香

米マクドナルドは、欧州でプラスチック製ストローに替えて紙ストローの導入を始めた。その意図と次世代容器の開発についてサステナビリティの幹部が語った。

――マクドナルドは2018年6月に、英国とアイルランドの1361店舗で2019年内にプラスチック製ストローを紙製ストローに切り替えると宣言しました。なぜ紙製ストローへの切り替えを打ち出したのですか。

キース・ケニー
米マクドナルド サステナビリティ担当グローバル・バイス・プレジデント
英国出身。ロンドンのキングズカレッジでフード・サイエンスを学び、卒業後、1989年に英国マクドナルドに入社。2006年に欧州マクドナルドに異動し、サプライチェーンの仕事に携わり、欧州マクドナルドのサステナビリティ・チームを立ち上げた。2015年から現職(写真:中島正之)

キース・ケニー 氏(以下、敬称略) マクドナルドは2018年1月に、2025年までにすべてのパッケージをリユース素材かリサイクル素材、またはFSC(森林管理協議会)認証などの森林認証紙にすることをグローバルの目標に掲げました。現在、お客様向けのパッケージの80%が紙、20%がプラスチックです。この20%を再検討していきます。紙ストローの導入はこうしたグローバルなパッケージとリサイクルの目標の一環として打ち出したものです。

――紙製ストローの導入はどの程度進んでいますか。

ケニー 英国では、紙ストローが吸いにくくないかなど消費者の反応を見ています。現状では英国市場を賄えるだけの紙ストローの生産量がありませんので、生産規模を拡大するとともに、カウンターでストローを使うかどうか来店客の要望を聞いて渡すようにしています。

 他の国ではストローとは異なる形状の代替品の実験もしています。

――代替品とはどのようなものですか。

ケニー ストローがなくても飲める形状のふたです。別の市場では海藻で作ったストローも検討しています。

 こうした新しいタイプのストローやふたの機能を、まず小規模な市場でチェックします。漏れないか壊れないかなど。次に、紙ストローの触感を好まない人もいるため、試験的に導入するそれぞれの市場で来店客が受け入れてくれるかどうかを確認します。現在、英国、ノルウェー、フランスなど4~5カ国で紙ストローを、フランスで代替品を試験的に導入しています。

――新しいタイプのストローやふたの開発には、製紙メーカーや他の業種との連携が必要です。どのように進めていますか。

ケニー 我々のサプライヤーはとても革新的で、斬新な解決策を練ってくれています。彼らと対話しながら紙ストローやストローを使わないふたの開発を進めています。

 2025年のパッケージの目標を達成するには様々なアプローチがあり、イノベーションが鍵を握ります。そのため、他にもプロジェクトを実施しています。2018年9月には「次世代カップ・チャレンジ」というプロジェクトを開始しました。マクドナルドと米スターバックスがそれぞれ500万ドルずつ出資し、サーキュラーエコノミーの実現に投資する投資家グループ「クローズド・ループ・パートナーズ」と協力して、イノベーションによって次世代カップの解決策を生み出すプロジェクトです。政府やNGOを巻き込み、様々な企業の参加を呼び掛けています。リサイクルが容易で燃やすことができ、ホットドリンクも入れられるカップの実現を目指しています。

 次世代カップ・チャレンジでは、イノベーターなどからアイデアを募集中です。個人でも別の業界でも応募が可能。良いアイデアを出した受賞者のうち最大7組を選び、100万ドルを援助して生産の検討をしてもらいます。

――欧州ではプラスチック製ストローの問題が2018年に急に大きく取り上げられました。背景に何があったのでしょうか。

ケニー 消費者からの関心がありました。英国の放送局BBCの番組「ブループラネット」など多くのテレビ番組が、プラスチック製ストローの問題を取り上げました。消費者が高い関心を寄せました。そこで、まず英国マクドナルドで紙ストローの試験的導入に踏み切りました。