投資家のニーズを見誤るな

 今やTCFD提言への対応は「環境先進企業」の必須科目となった。

 企業の気候変動に対する取り組みを採点するCDPは2019年1月、最高ランクである「A」スコアを獲得した企業を公表した。CDPは今回初めて、提言への対応を尋ねる質問を多数取り入れた。みずほ情報総研によれば、Aリスト入りした日本の20社のうち18社が、シナリオ分析を「実施済み」と回答した。同社の柴田昌彦シニアコンサルタントは、「企業の回答はTCFDが求める情報開示レベルに近づきつつある。投資家のニーズに合う情報をいかに示せるかが重要だ」と指摘する。

■ CDP「Aリスト」18社がシナリオ分析に着手
CDPが公表している「気候変動2018」の資料を基にみずほ情報総研が作成した
(出所:みずほ情報総研)

 TCFD提言に対応しようとする企業が取り組むべき課題が4つある。

 まず、投資家の代弁者であるTCFDが企業に開示を求めるのは、どのような将来になろうとも、経営が成り立つ戦略があるかどうかだ。

 それにはシナリオが1つでは十分とは言えない。今世紀末の気温上昇を2℃や1.5℃に抑えようと温暖化対策が進展する将来像や、対策が遅れ気候変動が拡大する将来像を描いた複数のシナリオの検討が必要だ。

■ 分析に採用される主なシナリオ
IPCCは「気候変動に関する政府間パネル」、IEAは「国際エネルギー機関」、SDGsは「持続可能な開発目標」のこと
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 課題はまだある。その企業や業界にとって重要なリスクや機会に、言及しているかどうかだ。投資家が重要とみているかも考慮したい。