アリババの融資は「変革」

――日本企業のSDGsの取り組みは、目標と自社の取り組みをひも付けることがメインでしたが、今後はイノベーションによって新しい社会の仕組みやビジネスモデルを生み出すことも必要になります。企業にはどのような姿勢が求められますか。

コンセイソン ひも付けから次の段階に移ってきました。工業社会や情報社会から、日本が提唱する「Society5.0」(IoTを活用し、社会的課題の解決と経済発展を両立させる社会)の方向に向かっていることを認識して行動しなければいけません。

 企業はグローバルなバリューチェーンにつながっています。先進国の企業はこれまで、バリューチェーンの上流にある途上国で安い労働力を使ってコストを下げて生産し、輸出によって経済発展を遂げてきました。今後は途上国での安い労働賃金による生産が今ほど容易ではなくなります。逆に自動化が進み、先進国でも低コスト化が可能になります。

 SDGs達成のためには、5〜10年先を見据えた戦略と長期的な投資が必要です。イノベーションによって新しい社会の在り方をつくる「トランスフォーメーション(変革)」を意識して行動しなければなりません。日本がSociety5.0で主導的な立場を取るためには、国も企業もこの点を意識しなければなりませんし、金融機関にも変革が求められます。

――変革をもたらしたSDGsの良い事例を教えてください。

コンセイソン 中国の電子商取引最大手アリババグループのマイバンクが始めた中小企業向け融資などがありますね。通常、企業が融資を申請するとその分析に2〜3週間かかりますが、AIを使うと数分でできます。AIによって時間を短縮し、コストを1000分の1にした結果、融資金額が格段に増えました。その影響は金融セクター以外にも波及しています。金融機関ではない企業もこの分野に参入してきています。

 もちろん、マイバンクはSDGsを意識して始めたビジネスではないかもしれません。企業はこれまでも変革やイノベーションを行ってきましたが、SDGsの登場が2つの面で企業を助けています。

 1つはリスク低減です。企業が投資の意思決定をする際、SDGsを見ることで政策や規制、消費者の変化を意識でき、リスクを低減できます。2つ目はビジネスチャンスの予測です。SDGsへの貢献を考えることで、どんな技術に投資したらチャンスが生まれるか分かります。電気自動車やバッテリーなど世界が向かうべき方向性を見極めることが、投資戦略を考える一助になります。