聞き手/馬場 未希

石炭事業を手掛けない唯一の資源会社である英豪リオ・ティント。社会の脱炭素化につながる資源の供給と技術開発に注力する。

――リオ・ティントは2018年、石炭事業を手掛けない世界初の資源メジャーとなりました。その経緯を聞かせてください。

シモーン・ニヴェン
英豪リオ・ティント コーポレートリレーションズ グループ・エグゼクティブ
2008年にリオ・ティント入社。2017年1月から現職。グループの渉外や地域社会、メディア、評判、従業員とのコミュニケーションなどを担当。アフリカ、オーストラリア、カナダ、中国、欧州連合、インド、日本、英国、米国などのオフィスチームのリーダーシップを統括している(写真:中島 正之)

シモーン・ニヴェン 氏(以下、敬称略) リオ・ティントは鉱山の開発や運営を手掛ける企業として、事業における持続可能性の確保を長らく追求してきました。2018年には執行役員らと取締役会でESG活動の刷新を決定しています。気候変動対策とその透明性の確保の他、サプライチェーンにおける人権配慮などといった社会課題への対応まで、幅広いESG課題に対する取り組みをどのようにして向上させるか、多くの時間を費やし検討しました。

 我が社は何十年にもわたり事業に対する気候変動の影響を経営戦略に組み込んできました。気候変動の防止や、我々の事業が気候変動に対し耐性(レジリエンス)があるかを考慮することは特段、新しいことではありません。

 また我々はパリ協定を支持し、2015年には自治体や企業、投資家などがパリ協定への貢献を表明する「パリ行動誓約」にも署名していました。そして執行役員と取締役会が多くの時間を費やして議論を重ね、全社の気候変動戦略を統合して石炭資産を売却すると判断しました。

――業績に対するインパクトについてはどのように検討されたのですか。

ニヴェン 将来における市場の変化、つまり需要と供給の見通しを基に、発電用石炭事業からの転換を図り、この市場から撤退するとの経営判断に至りました。

 結果として、石炭資源の売却で確保した資金を、リチウムなど他の需要増が見込まれる材料開発事業への投資に回せる機会にもなりました。