聞き手/ 田中 太郎

欧州やアジアを中心にグリーンボンドの発行が増えている。環境や社会に貢献する持続可能な事業の資金調達手段として、国や企業が期待をかける。

――ESG投資が世界で広がり、2018年の残高は30兆ドル(約3300兆円)を超えました。欧州では最近どんな動きがありますか。

ステファン・マルセル 氏(以下、敬称略) 注目点が2つあります。

 1つは、欧州委員会が2018年3月に公表したサステナブル金融に関するアクションプランです。これは、持続可能な成長に向けて、気候変動対策など持続可能な事業や資産にお金の流れを集中させるのが目的です。債券だけでなく銀行ローンなど金融商品全般が対象になります。

 アクションプランの10項目の1つに、投融資の対象となる持続可能な事業とは何かという定義の策定があります。例えば、全ての人の暮らしに不可欠なサービスとして医療や教育を提供することや、基本的なインフラとして手の届く価格の住宅や水を提供することが考えられます。

児童労働対策は企業の責任

――児童労働への対策は対象に含まれないのですか。

ステファン・マルセル
ソシエテ・ジェネラル マネージング・ディレクター。デット・キャピタル・マーケット(DCM) サステナブルボンド グローバル責任者。2001年にDCM部門に入職し、政府・公共部門のオリジネーション業務に携わる。その間、西欧や北米、CEEMEA(中東欧、中東、アフリカ)の多様なクライアントを担当した。2017年7月から現職(写真:北山 宏一)

マルセル 児童労働の問題は金融と直接関わるものではありません。ESGの活動やCSR(企業の社会的責任)の一環として求められるものです。児童労働はどの国でも違法になり、企業は当然対処していかなければなりません。ガバナンスの一環として違法行為はしないということで児童労働の撲滅に取り組むことになります。労働者の安全や環境汚染対策、水や廃棄物のリサイクルといった活動も、企業責任の一環です。

 もう1つの注目点は、SDGs(持続可能な開発目標)です。17あるSDGsの目標のうち1つが平和と正義、1つが総合的なパートナーシップ、残りが全て社会に関するものになっています。持続可能な事業を推進していくという意味で、投資家にとってSDGsを達成していくことが重要になります。

――なぜ、投資家にとってSDGsが重要なのですか。達成することによってリターンはありますか。

マルセル 環境や社会の側面ではもちろんプラスのリターンがあります。ただ、投資リターンがあるかというとそれはまた別問題です。

 では、なぜ投資家にとって重要かといえば、投資家の先にいるエンドクライアント(資産の保有者)が求めているからです。投資家に預けた資産が環境や社会課題の解決に貢献しているのかを気にしています。SDGsにどうつながっているかを明確にすると分かりやすくなります。

――日本では最近、グリーンボンドの発行が増えています。