欧州、アジアがけん引

マルセル ソシエテ・ジェネラルは日本を重要なマーケットと見ており、グリーンボンドの発行が増えているのはうれしいことです。政府が後押ししていることが大きく、規制当局や企業を含めて、持続可能な事業に流れるお金を確保しようという強い意思の表れでしょう。

ラジ・マルホトラ
ソシエテ・ジェネラル マネージング・ディレクター。デット・キャピタル・マーケット(DCM)アジア太平洋地域責任者。2014年に東南アジアおよびインドのDCM責任者として入社後、担当地域におけるグループのDCMプラットフォームの構築・発展に注力。各国政府や銀行、企業のために多数の債券取引を指揮した。2018年4月から現職(写真:北山 宏一)

ラジ・マルホトラ 氏(以下、敬称略) 英クライメート・ボンド・イニシアチブ(CBI)の認定を受けたグリーンボンドに関して言えば、当社はアジアで既に26億ドル相当を引き受けています。このうち40%は2018年1年間に発行したものです。発行体は、日本政策投資銀行(DBJ)のみならず、民間企業にも広がっています。通貨で見ると、ユーロ建ての債券が約45%でドル建てが30%弱といったところです。

 グリーンボンドの発行が増えているのはアジアに限った話ではなく世界的な動きと言えます。

マルセル 世界では、ここ3年ぐらいで見ると欧州が最も発行残高が多く全体の50%を占めます。次いで多いのがアジアで30%です。欧州が最も多いのは歴史的な経緯からで、欧州投資銀行(EIB)が2007年に最初にグリーンボンドを発行したのがきっかけになっています。

 アジアに関しては、政府、規制当局、企業が強力に後押ししており、大きな成長が期待できます。グリーンボンドの市場で存在感を高めようという動きが欧州やアジアなどで本格化しています。

――ソシエテ・ジェネラルのアジアでの体制はどうなっていますか。

マルホトラ 当社はデット・キャピタル・マーケット(DCM、債券資本市場)専門チームをグローバルに展開しており、アジアは6年前に設置しました。日本は2019年1月に立ち上げたばかりです。

 専門チームを置くのは、アジアの市場の成長を見込んでいるからで、特に日本で積極的に展開していきたいと考えています。ユーロ建て債券のニーズは高く、フランスに本拠を置く当社には培ってきた知見や実績があります。この強みを生かしてさまざまな金融商品を組み合わせた提案ができます。

――グリーンボンドは第三者認証にコストがかかるし、使途が限定されています。発行体にとっては普通社債の方が便利ではないですか。

マルセル 確かに、追加のコストはかかります。ケース・バイ・ケースですが、普通社債と比べて数千ドルから多くて1万〜2万ドル増えます。とはいえ、一般に社債の発行にかかるコストは10万〜20万ドルなので、第三者認証に数千ドルかかったところで増える負担はごくわずかです。

 ただし、発行体が負担する事務作業は大きいです。資産をいったん洗い出し、何を投資対象にするかを決めるところから始まり、発行後も事業の進捗をモニタリングし、環境や社会への影響を評価、報告しなければなりません。

 しかし、コストではなくむしろ投資と捉え、継続して資金を調達するツールとして活用してもらいたいと考えています。発行体のESG戦略やポリシーを確認する物差しになり、想定通りに取り組みが進んでいるかの判断に使えるでしょう。