発行体に3つのメリット

――グリーンボンドは、発行体の企業にとって有用だということですか。

マルホトラ 発行体の企業には3つのメリットがあります。

 まず、企業のESG戦略やポリシーを広く公に知らしめる手段になります。次に、グリーンボンドの投資家は普通社債の投資家とは特徴が異なるので、投資家の層を広げられます。最後に、コストメリットを得られる可能性もあります。

 グリーンボンドの傾向として、環境に貢献したいという考えで投資するので、投資家は長期間保有してくれます。ボラティリティ(価格変動の度合い)が低いため、かけるコストに見合うだけのメリットは得られるでしょう。

――何がグリーンかの定義はこれから固まってくるのですか。

マルセル グリーンボンドについていくつかの基準が登場していますが、国際資本市場協会(ICMA)が定めている「グリーンボンド原則」が基本になるでしょう。規制や法律があるわけではなく、ベストプラクティス(好事例)を示しています。

 ただ、これは今後変わっていくでしょう。何がグリーンかを明確に定義し、グリーンボンド基準として標準化が進むと考えています。

――グリーンボンド市場は今後、どのくらい拡大していくでしょうか。

マルセル 2018年は初めてグリーンボンド市場が2018年と比べて横ばいでしたが、債券市場全体が10〜15%落ち込んだ中でのことです。政府の後押しがあるし、発行体企業の意欲も高いので、これからもグリーンボンド市場は伸びていくでしょう。

 世界のグリーンボンド市場は、2019年も恐らく10〜20%成長すると見ています。2018年の残高が1750億ドルだったので、2019年は2000億ドルに達するのではないでしょうか。

マルホトラ アジアでも伸びるでしょう。洋上風力発電や太陽光発電といった再生可能エネルギーの需要が高まっており、開発資金の調達にグリーンボンドが活用されます。資産運用会社もポートフォリオにグリーンボンドを組み入れる比率が上がっています。

マルセル 債券のみならず、銀行ローンなど貸し付けの分野でも環境関連が伸びます。例えば、2018年3月に英国のローン市場協会(LMA)がICMAと連携して、使途を環境関連に限定した融資のガイドライン「グリーンローン原則」を策定しました。環境に限らずさまざまな目的に使えるインパクトローンでも、ESGの評価によって貸付額を変えるなど、融資の判断にESGの視点が取り入れられています。

――英国のEU離脱(ブレグジット)が混迷を極めています。ESG投資への影響はありますか。

マルセル 金融市場全体ではブレグジットの影響は否めません。しかし、グリーンボンドなどESG投資への影響は少なく、今後も継続して伸びていきます。なぜなら、ESG投資はブレグジットよりはるかに大きな潮流で、拡大することはあっても逆行することはないでしょう。

ソシエテ・ジェネラル デット・キャピタル・マーケット(DCM) サステナブルボンド グローバル責任者のステファン・マルセル氏(右)と、DCM アジア太平洋地域責任者のラジ・マルホトラ氏(左)(写真:北山 宏一)