聞き手/酒井耕一(日経ESG発行人)

気候変動問題に長く取り組むアル・ゴア元米副大統領が日本で一般向けに研修を開いた。日本への期待と不安を交えながらも、若い世代に期待すると語る。

――気候変動問題について学ぶトレーニングプログラム「Climate Reality Leadership Corps Training」を日本で提供するのは今回が初めてだそうですね。43カ国目だとうかがいましたが、日本の優先順位は低いのでしょうか。

アル・ゴア 氏(以下、敬称略) 日本でこれまで開催していなかったのは良くなかったですね。私は、1997年に京都会議(国連気候変動枠組み条約第3回締約国会議、COP3)に参加するために来日しました。それ以来、日本はすでに正しい道を進んでいるため緊急ではないという印象を持っていました。しかし、その考えを最近改めました。今は日本にトレーニングが必要だと思っています。

 いずれにしろ、日本に来られたことはうれしく、光栄に感じています。トレーニングの定員は900人ほどですが、参加希望者はその2倍もいました。もっと日本で開催する機会を設けるべきかもしれません。

アル・ゴア氏。元米副大統領で、ノーベル平和賞受賞者。気候の危機を訴えたドキュメンタリー映画「不都合な真実」はアカデミー賞で「長編ドキュメンタリー賞」を受賞した(写真:村田和聡)

科学的知識を正確に伝えたい

――「カンファレンス」や「レクチャー」ではなく、「トレーニング」と呼んでいることが印象的です。

ゴア 私は14年間にわたって、「気候危機」の原因を解説し、解決策を提示するスライドショーを作ってきました。個人的に画像を購入して、構成しています。トレーニングでは、気候危機に対応するための最善の科学を説得力をもって提示するための方法を教えています。科学者が伝えようとしていることを科学者でない一般の人に伝えるためのものです。私が提供する画像を使って、気候危機に関する情報を多くの人と共有してもらいたいと考えています。

 ただ、これらの画像の意味を理解するためのセッションを受けた人でなければ、画像は渡しません。科学的事実を間違えてほしくないからです。気候危機については、誇張されすぎることも、逆に控えめに言われすぎることもよくあります。そうした弊害を取り除く必要があります。

 気候危機は人類が直面した最も深刻な危機であると私は強く信じています。しかし、世界中の多くの政府は、強力な力を持つ企業との摩擦を懸念し、危機を解決するために必要な大胆な行動をとることをためらっています。

 私が力を入れてきたのは、草の根のレベルで人々に力を与え、彼らがそれぞれのコミュニティーで気候危機の問題は重要だと声を上げられるようにすることです。それがこのプロジェクトの目的です。危機感を共有し、改善のための方策を見つけることに意欲的な人々のコミュニティーを作り出していきたいのです。

――気候変動問題に取り組むに当たって日本での最良のパートナーは誰ですか?

ゴア 日本には私と同じ考え方を持つ多くの友人がいるので、その中から数人を選んで名前を挙げるのはためらわれます。このようにお答えしましょう。日本における私の最大の味方は、若い世代の人々だと思います。彼らは気候の危機的な状況を理解し、大きな変革を迅速に進めるよう求めています。