認証を有効活用してほしい

ウェーバー そこで我々RSPOは「実施」の不足を補う仕組みを導入しています。

 1つ目は透明性の高い苦情処理メカニズムの導入。どんな異議申し立てが誰からあったかをウェブサイトで公開しています。認証制度に加え、苦情処理システムを導入していることでアクションが取れます。

 実際、インドフードは環境NGOのRAN(レインフォレスト・アクション・ネットワーク)が地元NGOと協力して異議を申し立て、事態が発覚しました。IOIは地域社会が異議を申し立てました。この2つは有名ですが、申し立ては日常的にあり、我々はそれらを精査しています。

 2つ目は透明性を高めるためのツールを企業に提供しています。「Geo-RSPO」という衛星画像をRSPOのウェブサイトで公開しています。認証農園の位置をプロットし、焼き畑などによる火災や森林破壊の状況をほぼリアルタイムで見られます。企業は取引先や調達先の近くで問題が起きていないか確認できます。

 3つ目は、認証機関を監査する認定機関を設け、認証制度の信頼性を高めています。

――認証を100%信頼してよいのでしょうか。非認証農園も含め、自力で監査する日本企業も出てきました。企業の対処方法にアドバイスください。

ウェーバー 確かに自力で持続可能性を担保する努力をしている企業もあります。不二製油グループ本社などは苦情処理メカニズムを自ら導入しています。ただ、数あるサプライヤーに苦情処理メカニズムの存在を周知させ、対応するのは大変です。

 透明性担保や苦情処理メカニズムという大きなシステムを1社で賄うのは、時間や労力、リソースを考えると限界があります。ですので我々のアンサーは、「認証制度を活用してください」ということ、そして「農家に認証を取得してもらいましょう」ということです。

 企業ができることは2つあります。1つ目は小規模農家に認証パーム油の需要があることを伝えること。現在、世界のパーム油生産量の約20%が認証油です。残り80%で農家が認証を取得していないのは、強い需要がないからです。欧州や米国からの需要は高いですが、最大の市場であるアジアの需要は非常に弱い。このため小規模農家は認証取得へのインセンティブが高くありません。世界中の企業が認証油への需要を見せることが必要です。日本からも需要を創出してほしいです。

 2つ目は小規模農家の能力開発(キャパシティ・ビルディング)の支援です。小規模農家にとって認証取得のハードルはコストではありません。認証制度が求める「組織のマネジメント力」の欠如です。

 小規模農家に対し、「認証油は売れる」「能力開発を支援する」と伝えることが重要です。

マレーシアやインドネシアに広がるパーム農園。農園や搾油工場では重い房を扱うため重労働だ
(写真:山口 大志)