世界90社の投資家が要求

――認証基準を改定する直前の2018年8月、セリーズや英アビバ・インベスターズなど約90社の機関投資家が「RSPOの基準強化」を求める共同書簡をRSPO本部に送りました。投資家もパーム油に高い関心を持っています。

ウェーバー 投資家たちは、認証農園はサプライチェーン上のリスクや評判リスクが少なく、生産効率が高く、財務パフォーマンスもよいことに気付き始めました。年金基金などの長期投資家は森林由来の商品の生産が持続するのかという問題意識を持っています。

 銀行も問題あるパーム農園への融資に伴う評判リスクを気にかけています。RSPOにはHSBCやシティバンクなどの銀行が加盟していますが、残念ながら日本の金融機関はいません。ぜひ加盟してほしいです。

 金融機関はパーム油に限らず、紙パルプなど森林由来の商品に高い関心を示してきました。それが木材や大豆へと広がってきました。その背景にはSDGs(持続可能な開発目標)の登場もあるでしょう。目標12に「持続可能な生産と消費」が掲げられました。国も企業もSDGsの取り組みの進捗を報告する例が増え、投資家や銀行が関心を寄せています。

――EUは2020年までに認証パーム油に100%切り替える計画を発表するなど、持続可能なパーム油の調達は欧米で盛り上がっています。日本の市場も成熟しつつあるとみていますか。

ウェーバー 英国の70%の人々は「パームには持続可能性上の問題がある」という意識を持っているという調査があります。市民の意識と連動して、欧州の政府も動いているとみられます。

 欧州の人々が強い意識を持つようになったのは、RSPOの誕生と関係があります。最初にNGOがパーム開発現場を訪れて問題の存在を欧州に持ち帰りました。その後スイスの大手スーパー、ミグロが現場を視察して深刻さを認識し、「ミグロ認証」という自社基準を作りました。ミグロとWWFが他の企業に呼び掛けたのがRSPOの始まりです。それだけに欧州の関心は高いのです。

 欧州と比べると日本における認証油の普及は遅れていますが、アジアではリーダー的な存在です。パーム油以外にも牛肉、大豆、カカオなどで森林破壊の問題が起きています。RSPOでの経験や知見を生かし、他の商品でも持続可能な調達を進めていくことを期待しています。

 日本では企業やNGOが参加する持続可能なパーム油調達のためのネットワーク「JaSPON」が2019年4月に設立されました。2020年の東京五輪に向け、認証パーム油の需要を増大させる絶好の機会が訪れています。

持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO) CEO ダレル・ウェーバー氏
(写真:中島 正之)