聞き手/田中 太郎

ESG投資が本格化するとともに債券での投資に注目が集まる。財務的なパフォーマンスと社会的インパクトは両立すると説く。

――PIMCOは債券の運用で定評がある機関投資家です。世界のESG投資の状況と傾向をどのように見ていますか。

オリビア・アルブレヒト 氏
米PIMCO ESGビジネス戦略責任者
PIMCOのESG(環境、社会、ガバナンス)ビジネス戦略の責任者。グローバル債券ビジネスで商品戦略を率いたこともある。2011年にPIMCOに入社する前は、独Cerberus Capital Managementでプライベートエクイティを担当したほか、米ロッキードマーティン、アラブ首長国連邦のムバダラ開発公社、米国防総省などでの勤務経験がある(写真:鈴木 愛子)

オリビア・アルブレヒト氏(以下、アルブレヒト) 2019年は、以前とは様変わりしました。欧州の機関投資家をはじめ、オーストラリアやカナダ、アメリカの機関投資家、さらには個人投資家も、債券分野でのESG投資に関心を持っています。

――なぜですか。

アルブレヒト 株式分野でのESG投資が先行し、投資家がESG投資になじんできたこともあると思います。そして、株式だけでなく、債券や不動産などすべての資産クラスに当てはめる動きが始まっています。ごく自然に、株式の次は債券での投資が盛んになってきたとみています。

 特に気候変動が世界のトピックスとして取り上げられるようになりました。2019年9月にニューヨークで開催された「気候行動サミット」には、史上最多の専門家が参集し、リスクや対策について議論しています。また、世界ではかなり組織化された形で抗議活動が展開され、気候変動への懸念を表明する人たちが非常に増えています。こうした懸念に対応する投資家の行動としてESG投資が盛んになっていると考えられます。

 例えば、グリーンボンドは、気候変動に対する世界の取り組みを推進するために非常に重要です。誕生してから5年以上たち、2018年の発行残高は1550億ドル(約17兆円)に達しました。2019年には史上最高になるとみられています。

――気候行動サミットでのグレタ・トゥンベリさんのスピーチは聞きましたか。

アルブレヒト はい、とても情熱的でした。その前にパリで開催された「PRI in Person 2019」にも過去最多の投資家が参加しました。こちらでもグレタさんの仲間の若者がスピーチしました。情熱的であり、話の内容も合理的でした。

――ESG投資の投資残高で債券が株式をすでに上回る国も多いそうですが、債券に注目が集まっているのですか。