「再エネ後進国」の日本

 ただ、既に再エネ100%を達成した米アップルのように、日本企業が再エネ100%を一気に実現できないのには日本独自の課題がある。再エネ供給力の不足とそのコスト高だ。

 「日本の電源構成における2030年の再エネ比率を50%にするため、政策を総動員してほしい」――。気候変動対策に積極的に取り組む「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)」に参加しRE100に取り組む企業が声を挙げた。

 この「RE100メンバー会」の20社は将来、電力需要の100%を再エネ電力に切り替えると約束している。2019年6月、電力会社、そして政府に対し再エネの供給力拡大と送電網などの課題への対処を求め提言を発表した。

 国が掲げる2030年度の再エネ比率目標は22~24%。これを2倍以上に引き上げる要請だ。提言はほかに、国内の再エネの発電コストが他の火力発電や原発などの電源よりも割高で、調達する選択肢も限られた状況にあると指摘した。

 これに応えるように供給側も、再エネ電力メニューを用意し始めた。

 東京電力エナジーパートナーは2017年3月、水力発電の電力のみを切り出して売る「アクアプレミアム」と呼ぶ再エネ電力メニューの取り扱いを始めた。東電グループの154カ所、総出力約217万kWの水力設備を生かす。他の大手電力会社も同様のメニューを提供し始めた。

 また企業が再エネの調達を考える時、真っ先に思い付くのは事業所内への太陽光発電システムの設置だろう。だがこれまでは自己投資で事業所内に太陽光パネルを設置しても、コストが割高なうえ発電規模が小さく、採用を見送る企業が多かった。

 太陽光発電事業を手掛ける第二電力(大阪市)は、企業から施設の屋根を借りて太陽光パネルを設置し、発電した電気をその企業に売る「自家消費」メニューを拡販する。

 アップルも、日本で再エネ利用を拡大するに当たり、第二電力と協力した。

 同社は施設の屋根に太陽光パネルを置き、発電事業を展開してきた。だがその電気は、再エネ電力の固定価格買い取り制度(FIT)で電力会社に売電して利益を得る。再エネ電力のCO2ゼロの価値(非化石価値)は制度上、国が保有することになる。

 新しい自家消費メニューならFITで売電しない。電力を使う企業が非化石価値を獲得でき、SBTやRE100の達成に使える。このような「非FIT再エネ」電力を直接、または電力メニューで買うケースが拡大しそうだ。

■ 屋根貸し太陽光パネルの電力を自家消費できる
出所:第二電力
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 加えて今後、期待されるのがFIT電力と証書などを組み合わせた「実質再エネ」の電力メニューを電力小売事業者からかうこと。利用が広がりそうなのが、2018年に政府主導で取引が始まった「非化石証書」である。非化石価値を取引できるようにしたもので、国がFIT再エネの非化石証書を、大手電力会社や新電力に売り出した。