聞き手/藤田 香

欧州運用最大手のアムンディは、グリーンボンドのファンドを複数運用している。投資家は投資資産がCO2削減に貢献したか定量開示を求めるようになった。

――アムンディは欧州最大の資産運用会社です。ESGに配慮した株式投資と債券投資をどの程度進めていますか。

イサベル・ビクフィリップ 氏(以下、敬称略) 我々の運用資産総額は約1.4兆ユーロ(約180兆円)。そのすべてでアムンディ独自のESG評価を適用していますが、厳密なESG基準に基づく「責任投資」を実施しているのは、全体の19%に当たる2800億ユーロ(約35兆円)です。このうち2000億ユーロを債券、800億ユーロを株式に投資しています。

 2018年、当社のイブ・ペリエCEOが責任投資を強化する3カ年計画を発表し、「2021年末までにファンド運用と議決権行使にESGの方針を100%導入する」というコミットメントを発表しました。現在その実現に向けて動いているところです。

■ アムンディの「責任投資」の方針
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債券ファンドに投資呼び込む

――世界ではグリーンボンド市場が拡大しています。ビクフィリップさんはグリーンボンドのポートフォリオの責任者ですが、債券の中でグリーンボンドの重要性は増していますか。

イサベル・ビクフィリップ
仏アムンディ・アセットマネジメント ユーロ・アグリゲート運用ヘッド
仏パリテク傘下のENSAEを卒業(経済、統計専攻)し、国立社会科学高等研究院で経済学修士を取得。1989年にBNPパリバのエコノミスト、その後クレディ・アグリコルのエコノミストを経て、94年にアムンディに入社。欧州債券とデュレーション&イールドカーブ・チームのポートフォリオ・マネジャーを務める。欧州債券チームでキャリアを積み、2002年からグローバル・バランス運用チームに所属(写真:中島 正之)

ビクフィリップ アムンディの2000億ユーロの債券投資のうち、80億ユーロ(約9400億円)をグリーンボンドに充てています。80億ユーロは案外小さいと思われるかもしれませんが、当社がグリーンボンドに力を入れていないわけではありません。そもそもグリーンボンドの世界市場は5000億ユーロ(約60兆円)。拡大しているとはいえ、まだ債券市場全体の2%にすぎません。当社が多く購入しすぎると、市場の大半を占め、投資家に利益を生み出せなくなるため、購入量を見極めています。市場が拡大すれば、それに応じて増やしたいと考えています。

 当社は、複数のグリーンボンドに資金を提供するファンドを3タイプ運用しています。

 1つ目が「グローバル・グリーンボンド・ファンド」です。エネルギー転換を行う企業のグリーンボンドに投資するファンドです。グリーンボンド原則を満たす債券が3分の2以上を占め、残りは通常の債券ですが、発行体のポリシーとしてエネルギー転換に焦点を当てた債券で構成しています。

 2つ目が「インパクト・グリーンボンド・ファンド」。環境負荷の削減が測定可能なグリーンボンドに限定したファンドです。エネルギー転換やエネルギー効率向上などのプロジェクトが含まれます。すべてがグリーンボンド原則に準拠しており、かつCO2削減データを確実に取れるもので構成しています。投資額100万ユーロ当たり回避できたCO2排出量などの報告の必要があります。インパクト(効果)を定量的に示せることは、投資家にとってメリットです。

 3つ目は世界銀行グループの国際金融公社(IFC)と共同で立ち上げた「新興国グリーンボンド・ファンド」。2018年から運用を始めました。グリーンボンド市場が未熟な新興国にも、グリーンボンドの発行を促していくものです。

 まず、IFCが新興国の金融機関に働きかけてグリーンボンドを発行させます。アムンディはこうした新興国グリーンボンドに投資するファンドを組成し、投資家の資金を集めます。新興国の金融機関は、グリーンボンドで調達した資金を国内のグリーンプロジェクトに貸し付けます。

 投資家にとっては、通常より金利が高く、グリーンプロジェクトに投資できることが魅力的。既に私たちは投資家から14億ドル(約1480億円)の資金を集めました。日本の投資家はまだ参加していませんが、関心を示している投資家もいます。