半澤 智

企業のESGに注目した債券の発行や融資の動きが拡大している。ESGファイナンスを実践する金融機関に、最新動向を解説してもらった。

 日経ESG経営フォーラムは2020年1月22日、第3回「投資家対話研究会」を開催した。本研究会では、投資家との対話を通じて、企業のESG経営の在り方を探る。

2020年1月22日に開催した第3回「投資家対話研究会」の様子
(写真:中島 正之 )

 第3回は、大和証券の清水一滴氏にグリーンボンドをはじめとする債券の最新動向を、三菱UFJ銀行の柳田陽子氏に企業のESGに着目した融資の取り組みを話してもらった。

 講演後は、参加者との対話の時間を設け、活発な意見交換が行われた。ここからは、それぞれの講師の講演と、参加者と講師の対話の様子をダイジェストでお伝えする。

大和証券 デット・キャピタルマーケット部副部長 清水 一滴氏

清水 一滴 氏
大和証券 デット・キャピタルマーケット部オリジネーション課 SDGs債担当 副部長(写真:中島 正之)

 大和証券グループでは、SDGs(持続可能な開発目標)を経営戦略の1つとして位置付け、SDGsやESGに着目した債券発行の引き受けに取り組んでいます。

 資金使途がSDGsに貢献する債券は、「SDGs債」などと呼ばれています。世界のSDGs債の市場規模は急速に拡大しており、19年の発行額は約2700億ドル(約30兆円)で、そのうち2000億ドル(約22兆円)以上が、環境に配慮した事業を対象に発行する債券「グリーンボンド」です。

 グリーンボンドの発行を後押ししているのが、国際資本市場協会(ICMA)が14年に定めた「グリーンボンド原則」です。グリーンボンドを発行するための枠組みで、どのような事業がグリーンボンドに該当するかなどを定めています。

 グリーンボンドの他にも、社会課題解決の事業を対象とした「ソーシャルボンド」と、グリーンボンドとソーシャルボンドの双方に当てはまる「サステナビリティボンド」があります。それぞれICMAが原則や指針を定めています。発行する債券がこれらの原則や指針に準拠しているかどうかは、外部の評価機関が認証します。

 日銀がマイナス金利を導入した16年度以降、国内の債券発行市場も高い水準が続いています。19年12月末時点の発行総額は約13兆円で、過去最高額を記録しました。その要因の1つが、グリーンボンドの拡大です。

 17年には環境省が、「グリーンボンドガイドライン」を発行しました。これ以降、補助金制度を利用したグリーンボンドの発行が活発になっています。グリーンボンドの資金使途としては、再生可能エネルギーの導入やグリーンビルディングの建設が多いです。