目標達成で金利優遇

 19年3月にLMAが、「サステナビリティ・リンク・ローン原則」を策定しました。これは、企業がサステナビリティ目標に連動した目標を設定し、目標の達成度合いと借入条件を連動させた融資の枠組みです。

 サステナビリティ目標に連動した目標は、野心的で持続可能性の改善に結びつくことが求められます。目標が達成できれば金利が下がり、達成されなければ金利が上がります。資金使途の制限はありません。企業にとっては柔軟な資金運用が可能になるため、今後活用する企業が増えると予想しています。

 サステナビリティ・リンク・ローン原則に基づいた融資は既に始まっています。

 19年11月に、日本郵船に500億円の融資を実行しました。サステナビリティ目標は、環境格付け機関であるCDPのスコアを採用しました。同社は最高ランクのAランクを取得しており、Aランクを維持することが、野心的な取り組みと判断しました。毎年発表されるCDPスコアでAランクが維持できていれば、金利上昇はありません。

 19年12月にも、豊田合成に50億円の融資を実行しました。同社は、50年をターゲットとした長期環境目標としてCO2排出や廃棄物の削減目標を定めています。そこで、売上高に応じたCO2排出量と廃棄物の削減目標を定め、目標が達成できたら金利を優遇します。

 海外では、化石燃料を消費する事業構造から、再エネ型の事業への転換する「トランジション」の動きが出てきています。今後は、こうした企業への融資も進めていきたいと考えています。(談)

ESGのアピールに活用

参加者:金利などの融資条件は、企業のESG評価を基に金融機関が決めるのでしょうか。

ESGで企業の融資はどう変わるのか――。参加者の質問に対して登壇者が答えた
(写真:中島 正之)
写真:中島 正之

柳田:融資条件は、金融機関と企業の話し合いで決まります。

参加者:サステナビリティ・リンク・ローンも、外部の評価機関による認証が必要なのでしょうか。

柳田:サステナビリティ・リンク・ローン原則に沿っているかどうかを、評価機関に認証してもらう必要があります。

参加者:目標を達成できた場合とできなかった場合のインセンティブの差は、どの程度の幅があるのでしょうか。

柳田:日本は既に低金利の状況にあるので、目標達成によって大きく金利が低下するものにはなっていません。今は、企業がESG経営を推進したり、市場や世間にESGの取り組みをアピールしたりする目的と併せた活用が進んでいます。