働き方改革は時短ではない

澤田 例えば東京オリンピック・パラリンピックのボランティアに登録した社員が百数十人います。それも自分たちの仕事だと考えてほしいのです。

 すなわち「仕事とは何ですか」「働くということは何ですか」ということです。お金をもらうことも当然必要ですが、同じく重要なのは働くことの意味合いです。自分たちがやったことが社会の役に立って、すごいことをやったと周りから見られるとか、自分の存在を認めてもらうとか、そういうことが一番うれしいですよね。お金儲けだけで考えると、仕事は面白くない部分もたくさんあると思います。人に愛される、人のためになる、このプラスアルファが働く意味合いだと思います。

 これは「働き方改革とは何か」にもつながります。働き方改革は単なる時短ではないのです。時短は1つの手段であって、プラスアルファをいかに感じるようにするかが働き方改革の本質でしょう。

 ESGを根づかせると、自分は何のために働いているのかと考えるようになり、働き方改革のボトムアップにもつながると考えています。業績連動というか、企業価値連動として根づかせる意味合いを社員に感じてもらえれば、働き方が変わるのではないかと思っています。

青井 本当ですね。ギャラップ調査によると、ミレニアル世代の6割は企業に利益追求ではなくて社会貢献をしてほしいと言っています。

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丸井グループ 青井浩代表取締役社長
(写真:鈴木愛子)

澤田 でも、儲けなくても別にいいになりすぎると、これも困るのです。青井社長もおっしゃっていることですが、ESGの取り組みが成長につながることを経営としては絶対に守っていかなければなりません。事業ともリンクするとか、研究開発ともリンクするとか、自分たちの事業の成長につながる。これは結局、「新しいお客様のために」につながって1つのビジネスモデルになる。青井社長がいろいろと語られていることから勉強しました。

青井 当社には、人が好きで、お客様に喜んでいただくのが好きな人たちが多く集まっています。自分が好きで夢中になれるテーマでビジネスを通じてESGができればいいのではないかということで、プロジェクトをつくり社員が自主的に参加しています。

 例えば、健康経営のプロジェクトではその中に職場の健康や地域の健康、マインドフルネスなどのサブテーマで分科会ができて、そこに参加した人たちが職場を巻き込んで実践しています。社内で「手上げ式」と呼んでいるのですが、テーマと場をつくって就業時間内に仕事として取り組んでもらっています。

澤田 手を上げる人はけっこう多いのですか。

青井 最初はあまりいませんでしたが、だんだん増えてきて、今では全社員の半分強が参加しています。

澤田 これはまさにトップダウンからボトムアップに仕組みとして落と込んだ例だと思います。自分で参画しないと「自分ごと」にはならないですからね。参画してやってみるとけっこう面白い、みんなやろうよとなる。こういうボトムアップは、かなり力になると思います。いい試みですね。(了)