聞き手/藤田 香

国連開発計画は、SDGsに貢献するファンドや事業を認証する基準を策定中だ。金融機関の協力を得て開発し、2020年に正式発表する。担当者がその意図を語った。

――UNDP(国連開発計画)は、SDGs(持続可能な開発目標)に資する投資や事業を認証するための基準を作る「SDGインパクト」というプロジェクトを進めています。なぜ認証が必要なのでしょうか。

ウリカ・モデール
国連開発計画(UNDP) 総裁補 兼 対外関係・アドボカシー局長
1969年生まれ。スウェーデンのイエーテボリ大学で国際関係の学士を取得。開発政策が専門で、ラテンアメリカやアフリカの開発現場でも勤務した。スウェーデン国際開発協力・気候担当次官として、SDGs実現に向けたスウェーデンの国際開発協力政策の再構築に貢献。2018年8月から現職(写真:中島 正之)

ウリカ・モデール 氏(以下、敬称略) SDGsを2030年までに達成するためには、取り組みを加速させないといけません。ところが取り組みは遅れており、中には気候変動や生物多様性、飢餓人口の増加など、逆行している課題さえあります。途上国に対しては、従来のODA(政府開発援助)だけではない資金の流れが必要です。

 UNDPは170カ国・地域にネットワークがあり、各国政府が政策や事業を立案する際に、SDGsに合わせたプラン作りや事業を展開するようアドバイスしています。そのプランをもっと投資を呼び込めるよう質を高める必要があります。

 ところが、SDGsをどう達成していくのかについては、「真の基準」が存在しません。そこで私たちは基準を開発することにしました。現在、基準はテスト段階にあり、2020年に発表できる予定です。この基準は実践的事例に基づいて作ったものであり、SDGsに資する「インパクト投資」(社会的成果とリターンを目指す投資)を促進する基準となります。

――「実践的事例に基づく、SDGsに資するインパクト投資」とは具体的にどのようなものですか。

モデール まず実践の意味ですが、実際にインパクト投資を行っている投資家が基準作りを支援してくれています。米ゴールドマン・サックスなど投資家のネットワークは世界に広がっています。

 また、基準作りでは、サステナビリティ報告書の基準であるGRI、SASB(サステナビリティ会計基準審議会)、GSG(インパクト投資のグローバル・ステアリング・グループ)などの基準も参考にしています。EUタクソノミーも見ています。これらを包括する基準を作るのが我々の目的です。

 UNDPが基準を作り、第三者機関が合格のハンコを与えます。企業や投資家に対し、この投資や事業なら「SDGsに寄与しますよ」という認証を与えるのです。

 「Global Investors for Sustainable Development Alliance」という投資家のネットワークができ、19年の国連総会後に発表しました。国連が主体となって、SDGsに寄与するツールや認証のハンコを与えるのは世界で初めての取り組みであり、意義のあることだと考えています。