企業統治の提案相次ぐ

 株主総会に提出される株主提案は、企業が総会通知を発送する120日以上前に提出する規定がある。これまでに開催された株主総会の提案はほぼすべて19年に提出されたものだ。これらの提案から、新型コロナウイルスの感染が拡大する以前に株主が企業に何を求めていたか、ESG経営の潮流が見えてくる(下の表)。

■ 主な米国企業の株主提案
■ 主な米国企業の株主提案
注:開催日は予定も含む 赤字は株主権利の強化に関する提案 CEO:最高経営責任者
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 19年8月、米主要企業の経営者団体ビジネス・ラウンドテーブルが「株主第一主義」を見直し、従業員や地域社会などの利益を尊重することを宣言した。これまで株価上昇や配当増加など投資家の利益を優先してきた米国企業にとって大きな転換点となるとみられている。

 だが、20年多くの企業に対して株主が提案したのは、取締役会会長とCEOの分離や取締役を解任する権利、臨時総会の開催を提案する権利などが目立ち、株主の権利をもっと広げたいという意図が見えてくる。

 米国ではコーポレートガバナンスの観点から、経営陣から独立した取締役が取締役会の過半を占める企業が多い。エグゼクティブサーチ会社のスペンサースチュアートが行った代表的な株価銘柄であるS&P500構成企業に関する19年の調査によれば、過半数(53%)の企業で会長職とCEO職を分離して別々の人物が就任。当該企業から独立した人物が会長を務める企業は34%に達していて、この比率は年々高まっている。CEOから分離した会長が経営の監督に注力すれば、株主や監督官庁との関係が円滑になるとの期待から多くの企業で提案されている。