取締役の解任権を主張

 20年4月27日に開催された航空機製造のボーイングの株主総会では、会長職を取締役会から恒久的に分離独立する指針の策定が提案され、52.9%の株主が賛成した。6件の株主提案のうち、この提案だけが過半数の賛同を得て可決。また、否決されたものの、通常の年次総会以外に株主が問題提起するための臨時総会を開催できるようにする提案も44.2%が賛成した。

 ボーイングでは、主力小型機の最新モデル「737MAX」が墜落事故の影響で受注と生産を停止しており、経営に深刻な影響を与えている。経営側はいずれの株主提案についても否決を求めたが、過半の株主は同社のガバナンスに批判的な姿勢を示した。

ボーイングが20年4月27日に開催した株主総会では、会長職を取締役会から分離独立する指針の策定が提案され、52.9%の株主が賛成して可決した<br><span class="fontSizeS">(写真:ロイター/アフロ)</span>
ボーイングが20年4月27日に開催した株主総会では、会長職を取締役会から分離独立する指針の策定が提案され、52.9%の株主が賛成して可決した
(写真:ロイター/アフロ)

 コンピューター大手のIBMでは、4月28日の株主総会で、取締役を株主投票により解任できるようにする提案が過半数(54.5%)を超えて可決された。IBMによればこうした提案を受けたのは初めてで、同社のガバナンスは十分に機能しているため提案に反対するよう株主に求めていた。会長職を取締役会とCEO職から分離独立させる別の提案も、否決はされたが43.3%と高い賛同を得た。

 通信大手のAT&Tでも4割を超える株主が取締役会の会長職の独立に賛成した。提案の趣意説明では「20年以上にわたり同社の株価は下落傾向にある。CEOの役割は企業価値を高めて株価を上げることにあり、会長は経営陣が成果を上げることに時間を使うべきだ」と、株価を上げて株主に報いることを求めた。

 ESG重視は企業経営の大きな流れとなったが、依然としてガバナンスや株主提案権の強化など株主の利益に直結する提案が高い支持を集める傾向がある。ただ、提案の多くは取締役会から否決が推奨されるため、可決されるものは少ない。しかし、環境や社会問題に関連した株主提案が提出されることは、企業側に一定の考慮を促す圧力になる。