取材・構成/小林 佳代

 2018年2月20日、日経BP ESG経営フォーラムが4月に発足したのを記念して「ESGで会社を強くする」をテーマにシンポジウムを開催した。ESGで先行するコニカミノルタ、三菱ケミカルホールディングス、丸井グループの3社のトップが自社の取り組みを紹介した。
 さらに、ESG投資を本格的にスタートさせた年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の髙橋則広理事長がESG投資の考え方を解説。「伊藤レポート2.0」で有名な一橋大学大学院商学研究科特任教授の伊藤邦雄氏が、なぜESGへの取り組みが求められるかを語った。
 今回は、コニカミノルタ代表執行役社長兼CEOの山名昌衛氏の講演を紹介する。

未来の地球や社会の姿を見定め、逆算思考で今成すべきことを追求しているコニカミノルタ。山名昌衛代表執行役社長兼CEOは「持続可能な社会に深くかかわる企業でありたい」と語った。

 コニカミノルタは2003年に旧コニカと旧ミノルタが経営統合して誕生しました。それを機に掲げたのが「新しい価値の創造」という経営理念です。経済的価値を向上するのと同時に、お客様や社会が求める社会的価値を創出するようなイノベーションを起こし、持続可能な社会に深くかかわる企業でありたいと考えています。

2050年「カーボンマイナス」

 2017年度からは新たな中期経営計画「SHINKA2019」をスタートしました。顧客企業の潜在的課題を先取りして共に解を生み出し、ビジネス社会・人間社会の進化を支える「課題提起型デジタルカンパニー」を目指します。

 コニカミノルタは光学、材料、画像処理、微細加工の分野で有数の技術を持っています。売上高研究開発費比率は8%という高い水準にあります。技術をベースにした知的財産も重要な資産。世界150カ国にセールスサービス体制を整え、200万社に及ぶ顧客基盤を抱えるなど、グローバルに事業を展開する力が高いのも強みです。こうした無形資産を最大限に生かし、課題提起型デジタルカンパニーを実現させたいと考えています。

 目指す姿を実現するために必要なのは逆算思考です。2030年、あるいは2050年の地球や社会がどうあるべきかを見定め、そこから逆算し、演繹的に企業として今、何を成すべきか、何ができるのかを明らかにする。そして、その方針を現場の隅々にまで浸透させることが大事です。未来を描き、今成すべきことを追求していった結果、コニカミノルタの経営戦略や事業戦略はESGの活動と一体化したものとなっています。

■ ESGと経営戦略の一体化
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 「E(環境)」に関しては、2050年を見据えた長期環境ビジョン「エコビジョン2050」を設定。「カーボンマイナス」という目標を盛り込んでいます。カーボンマイナスとは、コニカミノルタが存在することによって社会全体で排出される二酸化炭素(CO2)量が減る状態のこと。コニカミノルタ自身が排出するCO2量を2050年までに2005年度比80%削減することに加え、取引先や顧客企業に入り込み、技術やノウハウを提供して、その企業のCO2削減に協力し、カーボンマイナスに持ち込みます。

 環境負荷を低減する「グリーンプロダクツ」活動の一環として、再生材の利用拡大も図っています。使用済みのペットボトルやミルクボトルに独自の技術を加え、デジタル複合機の外装材やトナーボトルに再利用しています。

 デジタル印刷機で必要なものを必要な数だけオンデマンド印刷するソリューションも提供しています。大量生産・大量廃棄の仕組みからの脱却につながり、地球環境に貢献できる事業です。