ESGは人財がすべて

 「S(社会)」で重視しているのは社会に価値をもたらすイノベーションを生み出すことです。

 2017年には遺伝子診断や創薬支援を手掛ける米企業を買収。コニカミノルタが持つタンパク質を高感度に検出する技術を組み合わせ、プレシジョン・メディシン(個別・精密医療)事業を本格化させつつあります。患者のQOL向上や新薬開発期間の短縮、医療費高騰の抑制につなげたい考えです。

 介護業務の実態を詳細に把握し、ワークフローを改善し、効率化するシステムの開発、化学工場のガス漏れを検知する「ガス広域監視システム」の構築なども手掛けています。

 「G(ガバナンス)」に関しては、守りと攻めを両立することを意識しています。守りの面ではあらゆる活動において「コンプライアンスが第一である」ということを定期的に宣言。内部統制システム確立や情報セキュリティー対応、人権尊重にも留意しています。

 攻めの面では、社外取締役を4人選定。指名・監査・報酬の3委員会の委員長はすべて社外から招き、緊張感のあるガバナンス体制としています。役員報酬は中期業績と連動した透明性の高い体系とし、CEOのサクセッションプランも備えています。

 ESGは人財がすべてだと考えています。イノベーションとはテクノロジーではなくバリューであり、それを届けるのは人財です。課題を共に発掘し、解決に向けて行動するのも人財です。コニカミノルタはグループ社員4万人を抱えています。この社員たちが日々の行動をESGの方向に向ける判断材料となるよう、「Open and honest」「Customer-centric」「Innovative」「Passionate」「Inclusive and collaborative」「Accountable」の6つのバリューを明示しています。また、ダイバーシティー、働き方改革、若手世代への重点投資、健康経営という4つの切り口で人財力の強化に努めています。

 2014年にはイノベーションを創出する仕掛けとして世界5カ国に「ビジネスイノベーションセンター」を設立しました。ヘッドはすべて外部から採用。全面的に権限を委譲しました。オープンな環境で幅広いパートナーと連携しながら活動を進め、現在、200件ほどの新規テーマを進めています。

 ESGのトップランナーを目指すコニカミノルタの歩みはまだ道半ばです。社会的課題を解決するのに1社でできることは限られます。デジタル技術が進展した今はコネクティビティーがカギ。人と人、人とテクノロジー、企業と企業がつながってこそ意義があります。つながり、連鎖する中で社会的価値を創出していきたいと考えています。

コニカミノルタ代表執行役社長兼CEO 山名 昌衛 氏
写真/鈴木愛子