紐付け後の展開

 自社の取り組みを紐付けた後に見えるのは今後、自社が達成すべき目標への道筋だ。企業が年次で財務データを開示するように、紐付けた取り組みがどの程度目標に近づけたかを毎年示すことが望ましい。そのプロセスに必要なのは、継続的な「データ収集」と、データから導かれる定量的あるいは定性的な「インパクト評価(その事業が社会や環境にもたらす影響の評価)」だ。

 重要視されるのは、一地点の状況だけでなく毎年の経年変化にある。なぜなら、そこにこそ企業の取り組み姿勢が見えるからだ。どんなに素晴らしい紐付け作業ができたとしても、継続的にデータ収集しインパクトを評価する仕組みがなければ、「真に環境や社会に貢献しているか」は誰にも理解されず、良かれと思う取り組みも継続しない。

 現在、国連諸機関では各国のSDGs達成状況における統計に関してビッグデータ活用やデータハブ構築が進められている。「計測できないものは達成できない」という一貫したスタンスは非常に明確だ。

 そして、データの透明性の向上はいわゆる「ブルーウォッシュ」や「SDGsウォッシュ」と呼ばれる上辺だけの取り組みの防止にも効果的だと考えられている。

 「企業はそこまでやらなければならないのか」と感じる方も多いかもしれない。しかし、こうしたインパクトを重視する志向は、冒頭に述べた「資金使途の限定」とともに金融の世界でも主流化しつつある。

 例えば、昨今普及しつつある国際資本市場協会が策定した「グリーンボンド原則」や、国連環境計画(UNEP)金融イニシアティブが金融機関向けに策定した「ポジティブ・インパクト・ファイナンス原則」でも、「資金使途の限定」や「インパクト評価」は投融資の前提条件になっている。

 企業の資金調達において、「いくらのお金を何に使い、そのインパクトは何か」を示すことがますます求められるようになってくる。