聞き手/望月洋介(日経BP社取締役)

石炭火力からの撤退を発表し、再生可能エネルギーシフトの姿勢を明らかにした。環境と社会に資するマテリアリティを掲げ、サステナビリティ経営の追求に力を入れる。

――2019年2月28日にサステナビリティレポートを発表しました。

柿木 真澄(かきのき ますみ)
丸紅 代表取締役社長
1957年鹿児島県生まれ。東京大学法学部卒業後、1980年丸紅入社。2010年執行役員電力・インフラ部門長、2014年北中米支配人、2016年専務執行役員電力・プラントグループCEO、2018年代表取締役副社長執行役員等を経て、2019年4月より現職(写真:木村 輝)

柿木 真澄 氏(以下、敬称略) 総合商社はサプライチェーンの要ともいえる存在であり、サプライチェーンには、「商社はサステナビリティにきちんと取り組んでいるだろう」という期待感のようなものがあると思います。当社としてもそれに応える意識を持ち、自律して進めていかなければなりません。そこで2018年の1年をかけ、社外取締役、社外監査役も参加するサステナビリティ推進委員会を23回にわたって開き、議論を重ねて作り上げたのが「サステナブル・デベロップメント・レポート 2019」です。

 もちろんまだ改善の余地はあります。社会全体のサステナビリティに関するものですから、カバーするエリアが広く読者層も幅広い。今後は対象読者の設定も含め、それぞれのステークホルダーにきちんと伝えられるよう内容を充実させていきます。

――SDGs/ESGの観点で一番力を入れていることは何ですか。

柿木 社是である「正・新・和」の精神のもと、人財・経営基盤・ガバナンスという3つの基盤マテリアリティを使ってソリューションを生み、SDGsの目標達成に貢献する「環境・社会マテリアリティ」につなげていきます。当社が特定した「環境・社会マテリアリティ」は、気候変動、森林保全、人権・コミュニティ、持続可能なサプライチェーンの4つです。どれもビジネス上の課題をうまくカバーしていると評価しています。

インドネシアでは1990年代から、大規模な植林事業を手掛けている
(写真提供:丸紅)

 この4つに森林保全を含めるかについては議論も出ました。しかし、当社は世界各国で東京都の1.5倍にあたる森林をお預かりしています。森林はCO2吸収だけでなく、酸素を創出するし、生物多様性の点でも意義があります。一方で、不法伐採や児童労働といった問題があり、そこで暮らす先住民との共生も課題になる。つまり、森林から地球環境や人権、コミュニティの問題にもつながっていく。そう考えることで、当社がマテリアリティに設定して取り組む重要性を、私自身も納得しました。