聞き手/酒井 耕一(日経ESG発行人)

石炭火力からの撤退を発表し、再生可能エネルギーシフトの姿勢を明らかにした。環境と社会に資するマテリアリティを掲げ、サステナビリティ経営の追求に力を入れる。

――ESG/SDGsを企業戦略の中でどう位置付けていますか。

横山 賢次(よこやま・けんじ)
野村総合研究所 常務執行役員
1983年早稲田大学商学部卒業後、野村證券(現 野村ホールディングス)入社。2006年ノムラ・バンク・インターナショナルPLC(ロンドン)社長、2009年シニア・マネージング・ディレクター(グループ執行役員)、2011年野村総合研究所執行役員、2016年より常務執行役員 コーポレートコミュニケーション、総務、業務、調達管理、経理財務担当。サステナビリティ経営を推進する社内組織であるサステナビリティ推進委員会の委員長も務める(写真:木村 輝)

横山 賢次 氏(以下、敬称略) 企業理念の中に、社会に果たすべき使命として「新しい社会のパラダイムを洞察し、その実現を担う」とあります。この理念自体がそもそもサステナブルな社会を目指すものであり、当社は社会価値創造を以前から行っていたと考えます。

 長期経営ビジョン「Vision2022」の前半が終わったタイミングで、後半の4年を迎えるにあたり、2018年度を“デジタル元年”と捉え、サステナブルな社会の創出とグループ自身のサステナブルな成長を目指し、ESG、CSVを前面に出して取り組みを進めました。

――“デジタル元年”とサステナブルはどうつながってくるのでしょうか。

横山 デジタルトランスフォーメーション(DX)は、デジタル技術で業務プロセス変革に寄与するDX1.0だけでなく、デジタル技術でビジネスモデルそのものを変革するDX2.0によって、様々な社会課題を解決へ導くことができます。

 このDXを中心に「活力ある未来社会の共創」「最適社会の共創」「安全安心社会の共創」という、当社がCSVで設定した3つの価値づくりを進めながら、事業を通じ社会課題を解決していくことが重要です。2月には企業理念とサステナビリティ経営をテーマとするESG説明会を開催しました。ステークホルダーには当社の本気度を理解していただきたいと考えています。

■ 野村総合研究所(NRI)グループのサステナビリティ経営
出所:野村総合研究所
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――DXも含めESG/SDGsの特徴的な取り組みを教えてください。

横山 当社システム事業の主力である金融機関のインフラでは、各社がそれぞれにサーバーを持つのではなく、インフラの共同利用によりCO2削減につなげています。これは事業自体にすでに社会的価値があり、ESGにもマッチしている。そのほか様々なお客様とDXによる価値共創を実現しています。

 ESGのSの部分では、AIの進出による個人情報やセキュリティ、労働に関しては人権が課題になります。後者はグローバルサプライチェーンで見ても、豪州では英国の流れを受けて現代奴隷法が成立しましたし、フィリピンは児童労働がテーマになってくる。今後はこうした対応を強化しなければなりません。