海外進出に企業理念込める

――ESG、SDGsを企業戦略の中でどう位置付けていますか。

栗山 経営姿勢として「価値の追究」「地球との調和」「顧客との共生」「公正な経営」「個の尊重」の5つを打ち出しています。ESGやSDGsといった言葉が出てくる以前から取り組んでいるもので、当社としてはこの5つがESG、SDGsの考え方そのものであると理解しています。

■ 5つの経営姿勢
■ 5つの経営姿勢
出所:アルプスアルパイン

 海外へ工場を展開するときは安い人件費を求めるのではなく、地域産業の発展に貢献するというのが創業時から継続している理念です。人件費が上がったからといって安い国に移ることはしませんし、輸出加工区のような特区に行くのではなく、地域を発展させ、現地で販売するという形で海外に進出しています。

 国内においても、1964年に宮城県で古川工場の稼働を開始しましたが、これも東北地方の冬場の出稼ぎを解消し、地域の発展に貢献することが目的でした。ものづくりだけでなく、開発も東北で行っています。

――その東北で最大の拠点となっている宮城県で2018年11月、古川第2工場が竣工しました。先端技術とESG、SDGsにつながる取り組みを融合させている点が特徴的です。

栗山 古川第2工場は、グローバルのマザー工場という位置付けです。5つの経営姿勢をベースに新たな価値を創造する最先端のスマート工場を目指し、省エネを徹底的に追求するだけでなく、周辺環境との調和や地域社会の働く場の確保、BCP対策による顧客への供給責任、さらには働きやすい工場の実現など個の尊重にも力を入れています。

――個の尊重の姿勢は人材育成や働き方の面でどう表れていますか。

栗山 社員一人ひとりの自立をサポートするため専門技術の習得を支援するという考え方が人材育成の基本にあります。

 海外の外国人新卒者を2年間の契約社員として採用し、日本で働きながら技術と日本語を身につけてもらうプログラムも実施しています。期間後はそのまま当社で働いていただくのもいいですし、身につけた技術を出身国に持ち帰ってもいい。もちろん他社に就職するのもかまいません。働き方やダイバーシティの点では、女性の採用にも力を入れています。安心して働けるように2019年4月、古川に企業内保育所をオープンしました。

■ 外国人新卒者向け採用プログラム
■ 外国人新卒者向け採用プログラム
IAP(International Associates Program)は、海外で新卒者を採用し、アルプスアルパインの日本本社で2年間契約社員として雇用する制度。これまでに欧州、北米、アジアの国々から合計100人以上を採用している。
(出所:アルプスアルパイン)

――投資家との対話についてはどのように取り組んでいますか。

栗山 企業としては短期的な利潤よりも長期的な企業価値の向上、持続的成長を目指しています。モビリティ産業の新しい形は2024年には見えてくるでしょうから、きちんと統合効果を出したいと思います。その説明をする際、ESGやSDGsは当社の経営姿勢を後押ししてくれるツールになると考えています。