聞き手/酒井 耕一(日経ESG発行人)

建築設備や機械など多様な分野で歴史を重ね、2025年に100周年を迎える。エンジニアリングで省エネやCO2低減を進め、「選ばれる」会社を目指す。

――社会インフラの幅広い分野で事業を展開していますが、競争力の源泉はどこにあるのでしょうか。

長谷川 勉(はせがわ・つとむ)
三機工業 代表取締役社長
1975年慶應義塾大学工学部卒業、三機工業に入社。2010年上席執行役員建設設備事業本部東京支社長に就任。11年常務執行役員東京支社長、12年取締役専務執行役員営業統括本部長、13年代表取締役専務執行役員建築設備事業本部長を経て、15年より現職(写真:木村 輝)

長谷川 勉 氏(以下、敬称略) 当社は三井物産の機械部が母体となって独立し、1925年に創業しました。空調・衛生・電気・ファシリティなどの建築設備を中心に、搬送システム・コンベヤーといった機械設備、水・廃棄物処理施設、不動産と多方面に事業を展開していますが、すべての事業の軸にあるのはエンジニアリングです。設立当初から新しい分野に積極的にチャレンジし、技術力を積み重ねてきました。実は当社が「日本初」であるものは数多く、例えば九州の三池炭鉱で石炭を運ぶため、日本で最初にベルトコンベヤーを輸入・販売・製造したのも当社です。

 2015年、従来の社是を練り直し、社内で「三機スタンダード」と呼ぶ新しい経営理念を制定しましたが、「エンジニアリングをつうじて快適環境を創造し広く社会の発展に貢献する」との軸は変わっていません。

――長期ビジョンで「選ばれる」会社という表現を使っています。改めてその意味を教えてください。

長谷川 長期ビジョン「Century 2025」の中期経営計画Phase1(2016〜18年度)で、時代の変化に対応する土台として技術を磨き、人を育てて「質」を高めることに注力しました。Phase2(2019〜21年度)では、その「質」をベースに「信頼」を高める取り組みを進めていきます。そして2022〜25年度のPhase3で、ステークホルダーから「選ばれる」会社になることを目指しています。

 「選ばれる」という言葉は私や経営陣が発案したものではありません。全国を回り社員と対話を重ねる中で「様々な人々に『選ばれる』会社になりたい」という言葉が社員から出てきたので、長期ビジョンの新しいキャッチフレーズとしてこの言葉を使うことにしました。

――社員との対話をそもそも重視していると伺いました。

長谷川 経営理念にも「コミュニケーションを重視し、相互に尊重する」という文言を入れています。コミュニケーションは時間をかけ、言葉をいろいろと使って伝えることが大切です。社員との意見交換会で全国を回りましたが、その際はまず社員から質問してもらい、それに私が答える形を採用しました。社員も言葉を尽くして質問しますし、自分から質問したことですから私の言うことも一生懸命聞く。こうした対話の場はやはり重要だと思います。

■ 三機工業のESG方針
三機工業は長期ビジョン「Century 2025」で「選ばれる」会社になることを目指している。ステークホルダーからの「信頼」を高めるために、Phase2では、「財務・資本政策」とともに「ESG方針」を開示し、実践している
(出所:三機工業)
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