聞き手/酒井 耕一(日経ESG発行人)

総合化学メーカーのシナジーを活かし、社会課題解決につながる取り組みを加速する。新しい中期経営計画では未来を見据えた大型投資を行い、次世代事業創出に力を入れる。

――4月に社長に就任すると同時に、2019年度から3年間の中期経営計画「Change and Innovation 3.0」も始まりました。前中計までの振り返りと、現中計の展望を教えてください。

岩田 圭一(いわた・けいいち)
住友化学 代表取締役社長 兼 社長執行役員
1957年大阪府生まれ。1982年東京大学法学部卒業後、住友化学工業(現・住友化学)入社。2002年住友化学ベルギー(現・住友化学ヨーロッパ)出向、2004年情報電子化学業務室部長、2010年より執行役員、常務執行役員、専務執行役員を経て2018年に代表取締役 専務執行役員、2019年から現職(写真:川田 雅宏)

岩田 圭一 氏(以下、敬称略) 2013〜15年度の中計は「Change and Innovation」の1.0で、財務体質強化に力を入れました。続く16〜18年度の2.0では思い切った拡大投資に踏み切り、約6500億円の投資をしたのですが、これは現中計の種まきの時期だったと思います。その間、為替の動きが有利に働き、石油化学市況も良かったことで、17年に史上最高益を記録しました。

 現中計では、世界的な天候不順や米中経済摩擦など先行き不透明な状況の中で19〜20年を踏ん張りの2年間と捉え、21年に17年の最高益を更新するプランを立てています。

――現中計でも大型投資を計画しています。狙いを教えてください。

岩田 医薬分野を中心に約7000億円の投資を行う計画です。この3年間は10年先を見据え、当社が注力すべき分野を議論して決めていく段階だと考えています。その視点で、社会課題の解決につながり、かつ当社が優位性を持つ事業を洗い出して「ヘルスケア」「環境負荷低減」「食糧」「ICT」という4つの重点分野を決めました。これらの分野で集中的に投資を行い、研究開発を進めて、次世代事業の創出を加速させます。

――4つの重点分野を打ち出す過程でどんな部分を重視しましたか。

岩田 当社がどういった技術を持っているのか、この機会に棚卸しを行い、世界で戦える技術を洗い出した上で、その技術と今後の社会課題を結び付け、分野を決めていきました。一つの事業だけでなく、事業と事業の境目である“業際”にビジネスチャンスがあり、社会課題解決につながる要素もあるという考え方が前提にあります。たとえば「ヘルスケア」では、診断と治療を融合させたセラノスティクスの早期実現を目指し、医療問題に貢献していきます。