総合化学のプレミアム出す

岩田 社長就任時から、総合化学メーカーのメリットを活かした「コングロマリット・プレミアム」を実現したいと表明しています。まずは一つひとつの事業を強くし、その上で、長期スパンで業際の分野を耕していく。この両者の取り組みがあって初めて、総合力のシナジーが実現します。

――デジタル革新の取り組みで目指す方向性を教えてください。

岩田 デジタル革新の到達点は、新しいビジネスもしくはビジネスモデルをつくることだと思います。そこがサードステップだとすると、セカンドステップは現在の事業をデジタル革新によって広げていくこと。とはいえこれもなかなか難しいことです。そこでまずはファーストステップとして、デジタル技術を利用して生産性向上、研究開発速度向上、コスト削減、働き方改革といったアプローチで取り組んでいきます。

■ 2019〜2021年度 中期経営計画の基本方針
■ 2019〜2021年度 中期経営計画の基本方針
デジタル革新により、住友化学と社会がともにサステナブルである「Change and Innovation 3.0 〜For a Sustainable Future〜」で、取り組む6つの重要経営課題
(出所:住友化学)
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――「持続的成長を支える人材の確保と育成・活用」を掲げていますが、これからの10年を見据え、組織のあり方や育成・採用に関して思い描いていることは何ですか。

岩田 キーワードは多様性。多様性を活かす人事制度の運用が重要なポイントとなります。一つは、デジタルやエンジニアの分野で高度な技能を持つ人材を増やすため、海外大学院でPh.D.を取得した日本人留学生の採用を積極的に進めます。また、キャリアパスが単線なので、複線化を目指していきます。人生や仕事に対する考え方は人それぞれですから、その点を念頭に置いた多様な採用の仕方や人事制度を設けてパスを増やすことに取り組んでいます。

――様々な取り組みとESG、SDGsとの関わりについて教えてください。

岩田 創業当初からの、自らの利益追求のみではなく社会に貢献するという「住友の事業精神」を継承し、環境問題や食糧増産といった社会課題の解決に努めてきました。400年以上続くこのDNAをもととする企業文化には、SDGsやESGの概念が内在されてきたと考えます。近年はステークホルダーも「社会のために」という視点で企業を見ますが、そうした考え方がDNAとして根付いているのではないでしょうか。

――2018年、三井住友銀行「ESG/SDGs評価シンジケーション」の第1号案件として計222億8000万円の資金調達を実施しました。資金調達の視点からESG、SDGsをどう考えますか。

岩田 ESGが評価されれば、資金調達が有利になり、事業価値の向上にもつながっていきます。その意味でも、今回優良な評価をいただけたのは光栄なことです。加えて、社員や株主の皆さんがESGやSDGsに一生懸命取り組む、社会に貢献する企業に属していること自体が誇りであるとの思いを持てれば将来的に大きな効果を生むと考えています。