聞き手/酒井 耕一(日経ESG発行人)

研究開発のあり方を見直し、世の中にない画期的な製品作りを目指す。「健全な会社」を将来に引き継ぐため、誰もが自発的に動く組織づくりにも力を入れる。

――社会課題の解決に向けて、どのような役割を担っていきますか。

玉井光一(たまい・こういち)
富士ゼロックス 代表取締役社長
1952年生まれ。 2003年、富士写真フイルム(現富士フイルム)入社。富士フイルム取締役副社長、富士ゼロックス代表取締役副社長を経て、2018年6月富士ゼロックス代表取締役社長就任。東京大学の博士(工学)学位取得(写真:木村 輝)

玉井 光一 氏(以下、敬称略) 富士フイルムグループのCSR計画「Sustainable Value Plan 2030」では、2030年をターゲットとして、環境・健康・生活・働き方・サプライチェーン・ガバナンスの6つを重点領域と捉えています。当社は、この中でもとりわけSDGsの目標8(働きがいも成長も)につながる「働き方」を変えることに力を入れています。2018年3月には価値提供戦略として「Smart Work Innovation」を打ち出し、独自の技術などを駆使してお客様の働き方変革を提案しています。

――価値提供戦略において、商品・サービスの位置づけも変化しますか。

玉井 当然変わります。複合機やコピー機は従来、紙の書類を複写する、アナログからアナログへというイメージが強い機器ですが、今は手書きデータもデジタルデータに変換できる。それによってお客様の多様なビジネスシーンでのデータ活用が容易になり、付加価値も高められます。

 具体的には、手書き文字を高精度にデータ化できる当社独自の「Document AI(ドキュメント・エイアイ)」技術により、データ入力などの単純作業を減らすことで、お客様が業務に集中できる働き方を支援します。また、設備業などでは、紙の図面をデータ化し部品データと紐づけて管理することで、法改正などで部品の変更が必要となった場合に該当する部品を図面から誰でも簡単に探し出すことができる仕組みを提供しています。このようにお客様のビジネスプロセスやワークフローを変えることで、よりクリエーティブな働き方を支援する環境を提案できるのが当社の強みです。

 現在、研究開発拠点でもある横浜みなとみらい事業所に、当社の商品やサービスの導入で働き方が具体的にどう変わるか、そのビフォー・アフターを分かりやすくご覧いただけるショーケースを準備しています。

――イノベーションを生むために何が必要とお考えですか。

玉井 従来のやり方にとらわれず、大胆な発想をもつことが重要だと考えています。技術者であれば商品性能アップ、つまりマイナーチェンジを行うのは、どこのメーカーでも同じです。しかし、技術者が自らの考え方を切り替え、果敢に挑戦することで、マイナーチェンジではなく、もっと大きな、世の中に存在しないイノベーティブなゲームチェンジを実現する商品が生まれると確信しています。