聞き手/酒井 耕一(日経ESG発行人)

大林組は2050年を見据えサステナビリティビジョンを策定した。詳細なKPI(数値目標)を設定、サプライチェーンと意識共有しながらESG経営を推進する。

――2019年6月に「Obayashi Sustainability Vision 2050」を発表しました。狙いを教えてください。

蓮輪 賢治(はすわ・けんじ)
大林組 代表取締役社長
1953年生まれ。大阪府出身。1977年大阪大学工学部土木工学科卒業後、大林組入社。2010年執行役員、2012年常務執行役員に就任。2014年テクノ事業創成本部長、2015年取締役、2016年専務執行役員を経て2018年3月より現職(写真:大槻 純一)

蓮輪 賢治 氏(以下、敬称略) 2011年、東日本大震災前に発表した中長期環境ビジョン「Obayashi Green Vision 2050」の改訂版として策定しました。震災でエネルギーパラダイムは大きく転換しました。また「パリ協定」の発効などにより、環境に対する問題意識が世界規模で変化を遂げています。私たちもタイムリーに、かつスピード感を持って広く社会課題に配慮した企業経営を進めるべきと考えました。

 「Obayashi Sustainability Vision 2050」では2050年の「あるべき姿」を「地球・社会・人」のサステナビリティを実現した状態と定義しました。それを基に取り組むべき目標と事業展開の方向性を示しています。持続可能性の追求は社会貢献であるばかりでなく、企業の生き残りにもつながります。大林組グループはもちろん、サプライチェーン全体で取り組むことで、環境・社会・経済の統合的向上を目指します。

■ Obayashi Sustainability Vision 2050の概要
図版提供:大林組
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――ESG経営についてはどのような方針で進めていますか。

蓮輪 「大林組グループ中期経営計画2017」の中で、経営基盤戦略の大きな要素の1つとしてESGへの取り組みを掲げました。ESG分野の数ある課題の中から、大林組グループにとって重要度・影響度の大きなESG課題を抽出し、課題解決に向けた活動を進めています。2019年2月には、「環境に配慮した社会の形成」「品質の確保と技術力の強化」「責任あるサプライチェーンマネジメントの推進」など6つのマテリアリティを特定しています。

 改めてESG経営やSDGsを見つめ直すと、大林組が掲げる「『地球に優しい』リーディングカンパニー」という企業理念や「社会的使命の達成」「企業倫理の徹底」といった企業行動規範、創業以来受け継がれてきた精神である「三箴(さんしん)良く、廉く、速い」と合致すると感じます。我々が建設を中心に様々な事業を推進する中で目指してきたことは間違っていないと確信しました。