聞き手/酒井 耕一(日経ESG発行人)

トヨタグループの企業として、「品質至上」を掲げて、自動車部品を担う。2019年10月1日にサステナビリティ推進グループを発足、KPIも策定する。

――6月にSDGsの7つの優先課題(マテリアリティ)を選定しました。ここに至る経緯を教えてください。

伊勢 清貴(いせ・きよたか)
1980年京都大学大学院精密工学科卒業、トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)入社。2007年常務役員、13年専務役員、同年取締役。18年1月アイシン精機副社長。同年6月から現職(写真:髙木 茂樹)

伊勢 清貴 氏(以下、敬称略) そもそも当社は創業以来、「品質至上」が基本理念です。扱う製品の主軸が自動車部品ですから、安全に関わる品質は重要です。品質を大切にする考え方は当たり前のものとして当社の文化に染み付いており、その基本理念のもと「豊かな社会づくりへの貢献」「社会・自然との調和」というSDGsに通じる経営理念を掲げて事業に取り組んできました。

 そこにSDGsという国際的指標が新たに登場したことで、取り組みを加速させるため、SDGsに沿った優先課題を選定しました。社内ではどのゴールを選ぶべきか、もっと多くのゴールを加えたらいいのではないかといった意見もありましたが、社外有識者および社外取締役・社外監査役も交えた議論の結果、最終的に7つの該当目標を選びました。

■ アイシングループのマテリアリティ(優先課題)
出所:アイシン精機
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――自動車がモビリティに進化していく中で、会社の強みをどのように高めていこうと考えていますか。

伊勢 自動車業界の「100年に一度」の大変革は、いわゆるCASE(コネクティッド、自動運転、シェアリングとサービス、電動化)の考え方とつながります。今後は従来のカーサプライヤー以外の企業も含めた競争にさらされていきます。その中で、当社がいま最も関心を寄せているのが、売り上げの約半分を占める駆動系部品です。近い将来、オートマチックトランスミッション(AT)がなくなる可能性もある中で、CASEに対応できるよう電動化を強力に推し進めなければなりませんし、その取り組みが同時にCO2削減にもつながります。いかに当社から有用なソリューションを提案していけるかが、今後の競争の重要なポイントになると考えています。

 経営基盤を固めつつ、CASE対応のため従来扱っていない部品にシフトしていく必要がありますが、既存部品をすべて残したままでは開発リソースに無理が生じます。そこで既存部品の選択と集中を行い、リソースの中心をCASEに注いでいきます。まだまだ開発ボリュームが多く、利益につながるのは先の話なのですが、いま注力しなければ勝ち残れないと考えています。