社内外のConnectで価値創出

――新たな価値創出のキーワードとして「Connect」を掲げています。

小堀 「Connect」には2つの意味があります。1つは社内の「Connect」です。AIやIoTが進化し、産業構造が激変する中では、多様な事業・技術・人材を持ち、社内でコラボレーションできる企業こそ対応力が高いと感じています。その強みを活かすため、旭化成は15年に純粋持ち株会社から事業持ち株会社へと移行し、研究開発部門やコーポレート部門を共通化しました。コア技術を見極め、旭化成の総合力を活かし、新事業創出に力を注ぎます。

 もう1つは、社外との「Connect」です。技術力のあるベンチャー企業とのタイアップやM&Aによって、社会のニーズに対応します。その一例として、激変する自動車業界向けに、マーケティング情報を一元管理し、顧客企業に新たなサービスや事業を提案するオートモーティブ事業推進室を新設しました。旭化成は、新時代のクルマの価値創造に貢献する素材や部材を数多く持っています。今後、自動車メーカー、部品メーカーとの共同開発を目指します。

 また、米国に置くコーポレートベンチャーキャピタルの決裁権限を高め、現地で投資や共同開発など、外部との「Connect」を加速できる体制を整えました。多様な人材の幅広い知恵を取り入れながら成果を出していきたいと思います。

――自動車や住宅など消費者と接点のある事業では、サービスビジネスも新たな収入源となりそうです。

小堀 特に住宅には大きな可能性があると考えています。「ヘーベルハウス」は災害や火災に強いという評価が定着し、高齢者向け賃貸集合住宅は建てるとすぐに入居者が決まるほど人気です。そこに住む高齢者の介護、ヘルスケア、セキュリティーなどのビジネスチャンスが広がるのではないかと期待しています。

――企業経営においては、ROE(自己資本利益率)など財務的指標の向上に目が向きがちです。非財務的な指標にはどのように取り組みますか。

小堀 投資家はリターンを求めますから、いくつかの財務指標への目配りは必要です。ROEでいえば10%超という今のレベルを維持したい。

 一方、非財務的な指標の向上も重要です。設備導入や技術開発によって温室効果ガス排出量の比率がどれぐらい減ったかという数値や、医薬品の供給によって健康に暮らす高齢者がどれくらい増えたかを発信すれば、社会貢献が明確になり、従業員の働きがいやモチベーションアップにもつながります。社内のすみずみまでサステナビリティの意識を浸透させることが大切です。

――柔道部の大野将平選手らが活躍し、東京五輪も楽しみですね。

小堀 スポーツ振興のために柔道、マラソン、駅伝をサポートしています。選手が活躍すると社内に活力が生まれます。「Connect」に大いに効果があると感じています。